【10月27日 AFP】国連教育科学文化機関(ユネスコ、UNESCO)は26日、ロシアのウクライナ侵攻前後の衛星画像を使って文化遺産の被害状況を調査するための追跡プラットフォームを数週間以内に公開すると発表した。

 ユネスコによると、2月の侵攻開始以来、ウクライナの文化遺産207か所への被害が確認された。内訳は宗教施設88か所、美術館・博物館15か所、歴史的・芸術的価値のある建物76か所、モニュメント18か所、図書館10か所。

 被害が特に深刻なのは東部と首都キーウ周辺。ドネツク(Donetsk)州で59か所、ハルキウ(Kharkiv)州で51か所、キーウで30か所、ルガンスク(Luhansk)州で25か所の被害が確認された。

 ユネスコで文化と緊急事態の責任者を務めるクリスタ・ピカット(Krista Pikkat)氏はスイス・ジュネーブで記者会見し、「状況は悪く、さらに悪化し続ける可能性がある」「文化遺産は戦争中に巻き添え被害を受けることが非常に多いが、国家のアイデンティティーの中核として明確に狙われることもある」と述べた。

 ユネスコは、国連衛星センター(UNOSAT)と協力して追跡プラットフォームを作成している。

 ユネスコが現地からの報告に基づき、被害を受けた可能性がある文化遺産のリストをUNOSATに送付。UNOSATが、民間事業者に衛星画像の提供を求め、侵攻前後の画像の違いを調査する。

 衛星画像は、米宇宙技術会社マクサー・テクノロジーズ(Maxar Technologies)や欧州航空機大手エアバス(Airbus)から1平方キロメートル当たり約10ユーロ(約1500円)で購入する。

 映像は26日撮影。(c)AFP/Robin MILLARD