【10月26日 AFP】英国の新首相に就任したリシ・スナク(Rishi Sunak)氏(42)は、投資ファンドでの勤務経験があり、妻との共同保有資産が推定7億3000万ポンド(約1200億円)に上ることから、野党勢力からは、生活費の高騰にあえぐ庶民の感覚を理解できないとやゆされている。

 左寄りの英紙ガーディアン(Guardian)は「7億3000万ポンドの財産を持つリシ・スナク氏、首相としては金持ち過ぎる?」と題した記事を掲載した。

 野党・労働党のナディア・ウィットム(Nadia Whittome)議員はツイッター(Twitter)に、「スナク夫妻は7億3000万ポンドの財産の上に腰を据えている。これはチャールズ国王(King Charles III)の推定資産の約2倍だ」と投稿。「スナク氏が、労働者階級が代償を払うことになる『厳しい決断』を下すと言うときには、このことを思い出そう」と呼び掛けた。

 アフリカ出身のインド系移民の両親のもとに生まれたスナク氏は、恵まれた環境で育ち、名門ウィンチェスター・カレッジ(Winchester College)などの私立校を経て、オックスフォード大学(University of Oxford)に進学。卒業後は、米金融大手ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)やヘッジファンド2社に勤務した。

 2009年、インドの大富豪の娘アクシャタ・ムルティ(Akshata Murty)氏と結婚。ムルティ氏は父親が経営するインドのIT大手インフォシス(Infosys)の株を大量に保有しており、夫妻は日曜紙サンデー・タイムズ(Sunday Times)がまとめる英長者番付に名を連ねている。

 今年4月には、英国に居住するムルティ氏が、収入の一部を課税対象外とするために自身を非居住者として申告していることが明るみに出たことで、スナク氏の評判は低下。ムルティ氏はその後、インドで得た収入について、英国で納税すると表明した。

 英国の有権者は社会階級に関する問題に敏感であることから、スナク氏は「庶民派」をアピールしようと、10代の頃に実家の薬局を手伝っていたエピソードを頻繁に語っている。だが一方で、売店でカード払いの方法が分からないような様子を見せたり、ガソリンスタンドで自分の所有物ではない車にガソリンを入れている様子を写真に撮らせたり、高級ブランドであるプラダ(Prada)の靴を履いて建設現場を視察したりといった失態も演じてきた。

 映像前半はチャールズ国王(King Charles III)に首相に任命され、首相官邸前で演説したスナク氏、25日撮影。後半は2021年6月から2022年8月までに撮影されたスナク氏の資料映像。(c)AFP/Anna MALPAS