【10月26日 東方新報】新商品が次々と投入される中国市場では、サービス終了が大きなニュースになることはあまりない。ところが、電子書籍リーダーのサービス終了は一部で予想されていたにもかかわらず、読書愛好家たちのため息を誘っている。

 IT大手の騰訊(テンセント、Tencent)が経営権の大半を握る中国電子書籍大手「閲文集団(China Literature)」は、ポケットリーダー「口袋閲」のサービスを10月26日に終了すると発表した。このリーダーは、5.2インチのモノクロ電子ペーパーに通話とショートメッセージ機能をつけたサービスを売りに2019年4月に発売された。

 一方、6月には米国のアマゾン・ドットコム(Amazon.com)が電子書籍を販売する中国のKindleストアの運営を2023年6月末で停止し、2024年6月末には閉鎖すると発表。それ以降は購入済み書籍のダウンロードもできなくなる。

 中国市場から電子書籍リーダーとそのサービスが相次いで撤退する背景には、「スマートフォンアプリに機能を代替されてしまったと」の見方が一般的だ。中国メディアによると、2021年の中国の電子書籍ブック市場の規模は前年比18.2%増の415億7000万元(約8467億円)と着実に成長している。浙江大学(Zhejiang University)国際ビジネススクールの盤和林(Pan Helin)主任は「電子書籍リーダーが市場から退場していくのは、その単一機能が消費者の支持を失ったことが原因」と指摘する。

 ユーザーの大半を占める若者のライフスタイルの変化も速い。安徽省(Anhui)蚌埠市(Bangbu)の女性は「普段は仕事で忙しいので、料理や家事の合間にオーディオブックを聞き、知識を得たり、ニュースを知ったりしている」と話す。

 すでに中国ではオーディオブックなどを聞くためのスマートスピーカーが売れ筋商品になっており、内外メーカーが中国14億人の耳を奪い合う新たな競争を繰り広げている。(c)東方新報/AFPBB News