【10月25日 AFP】英国の与党・保守党党首に選出され、非白人で初となる首相就任が決まったリシ・スナク(Rishi Sunak)元財務相(42)は、目覚ましい逆転劇により政権の座に上り詰めた。

 英国の旧植民地インドからの移民の息子でヒンズー教徒のスナク氏は今後、チャールズ国王(King Charles III)からの任命を受け、有色人種として初めてかつ、現代以降で最年少の英首相に就任する。

 前回の党首選では党内で草の根の支持を得ることができず、リズ・トラス(Liz Truss)氏に敗退した。だが元ヘッジファンド投資家のスナク氏はその際、トラス氏の経済政策が混乱を引き起こすことを正確に予測。トラス氏が首相就任後わずか44日で辞意を表明したことにより、党首選再挑戦のチャンスを得た。

 英首相に就任後は、経済危機や、分裂した党の結束といった難題に取り組むことになる。スナク氏は党首への選出後に開いた記者会見で、英国に「安定と団結」をもたらすと宣誓。「英国は素晴らしい国だが、深刻な経済的課題に直面していることは間違いない」と述べたほか、総選挙の早期実施には否定的な姿勢を示した。

 7月のボリス・ジョンソン(Boris Johnson)前首相失脚のきっかけをつくったスナク氏に対しては、忠誠心に欠けるとの厳しい批判が今も党内に残る。また、金融業で富を築いたことから、数十年ぶりの高インフレに苦しむ英庶民の状況を理解できないとやゆする声も上がっている。前回党首選の選挙運動で、プラダ(Prada)の高級靴を履いて建設現場を視察したことは、こうした批判を象徴する場面となった。(c)AFP