農耕の古村が新しく生まれ変わる 新疆ウイグル自治区
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【10月24日 People’s Daily】月亮地村(Yueliangdi)は、中国北西部の新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)昌吉回族自治州(Changji Hui Autonomous Prefecture)モリ・カザフ自治県(Mori Kazakh Autonomous County)に位置する、100年以上の歴史を持つ村だ。現在は、伝統的な民家、民俗、手工芸、自然景観文化が融合した伝統的な村落として、モリで最も保存状態の良い伝統村落の一つとされている。2014年には中国伝統村落リスト記載の第三陣の一つに選ばれ、年間を通して多くの観光客がここを訪れている。
月亮地村の風物詩として重要なのは民家で、100年以上前の「完全木造枠組」の拔廊房の建物群が村に残っている。近年、伝統的な民家の修繕を通じて、古い民家の外観を保存しただけでなく、村人の居住環境を改善し、地域文化の色濃い、趣のある村の景勝地をつくり上げた。
2016年から、地元は3000万元(約6億円)を投じて、村全体の振興という形で月亮地村の伝統的な村の保存と開発プロジェクトが実施された。1世帯あたり6万元(約122万円)の補助がなされ、全額を民家の改造に充てた。道路や通信光回線などのインフラが強化・更新されただけでなく、古戯台や村の歴史博物館、農耕博物館などの文化施設も整備された。
村に入ると、さわやかな酸っぱい香りが漂ってくる。これは有名な「曲兒香」手造り酢の香りだ。手造り酢の伝承者である王淑琴(Wang Shuqin)さんは80歳を超え、50年近く工房で酢を造っている。しかし、大規模工業で生産された酢に市場を奪われ、先祖代々の手造り酢が売れなくなったこともあった。数年前、村は古い手工業を復活させることを決め、簡単な酢工房を改築し、王淑琴さんは、造り方を村の女性数人に伝授した。小麦、ハダカムギ、コーリャン(モロコシの一種)、黒豆などを原料に、煮立て、発酵、浸漬を経て、1カ月後に新鮮でおいしい手造り酢が出来上がる。地元の観光業に火がつくと、手作り酢工房も人気を博し、純穀物醸造酢は多くの観光客を集めた。
「曲兒香」手作り酢のブランド効果を目の当たりにした村人たちは、次々と伝統工芸を復活させた。現在では、虎頭靴(トラの頭の形をした布の靴)、刺しゅうのスリッパ、手打ち麺など、昔ながらの技術が復活し、ベテラン職人たちは新しい息吹を感じ、収入も向上した。月亮地村の街の通りでは、旅行客は、拔廊房に宿泊し、地元の名物農家料理を味わうだけでなく、村人たちと一緒に手作りすることもできる。
現在、月亮地村には30軒以上のアグリエンターテインメント施設や民宿があり、いずれも統一された規格で内装が施されている。数年前、村人の胡建剛(Hu Jiangang)さんが故郷に戻り、「藍月亮」という民宿を開業した。ここでは、羊肉燜餅(ラム肉のキャセロール)など、農家ならではの素材を生かした料理が好評を博している。(c)People’s Daily/AFPBB News