【10月23日 AFP】ロシアが併合したと主張しているウクライナ南部ヘルソン(Kherson)州の親ロシア派当局は22日、ウクライナ軍の反攻が強まる中、州都ヘルソンの住民に「直ちに」退避するよう呼び掛けた。ウクライナ側は、ロシアが住民を「強制移住」させていると非難している。

 ウクライナ軍はドニエプル(Dnieper)川の西岸に沿って進撃し、ヘルソンに迫っている。同市はロシア軍による侵攻当初に陥落した最初の主要都市で、奪還すれば大きな戦果となる。

 親ロ派当局は「前線の状況は緊迫しており、市内への大規模砲撃の危険性やテロ攻撃の脅威が高まっている。全市民は直ちに市外へ退避し、(ドニエプル川)左岸に移動しなければならない」とソーシャルメディアに投稿した。

 ロシアがヘルソン州に設置した「行政府」の幹部キリル・ストレモウソフ(Kirill Stremousov)氏はインタファクス通信(Interfax)に、既に約2万5000人の市民が左岸へ退避したと述べた。

 ヘルソン州のセルヒー・フラニ(Sergiy Khlan)副知事は、ロシア軍は撤退の際に銀行や旅券事務所の資産や書類を持ち出していると指摘した。

 ウクライナ軍参謀本部によると、ロシア軍はヘルソン州の占領地2か所を新たに放棄し、3か所目からも医療関係者を避難させている。

■各地で停電

 ウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は22日、夜間にロシア軍の「大規模な攻撃」があり、ロケット弾36発が撃ち込まれたと述べた。この攻撃により、各地で停電が発生している。

 キリロ・ティモシェンコ(Kyrylo Tymoshenko)大統領府副長官によれば、各地のエネルギー施設への空爆で、現在、100万超の世帯が停電に見舞われている。

 ゼレンスキー氏は、「基幹設備への卑劣な攻撃」だとして「世界はこのテロを止められるし、止めなければならない」と訴えた。

 一方、ドミトロ・クレバ(Dmytro Kuleba)外相は、イタリア新政権のアントニオ・タヤーニ(Antonio Tajani)外相との初の電話会談で、「防空システムの迅速な引き渡し」がウクライナの「最優先事項」だと強調した。(c)AFP/Dmytro GORSHKOV