【10月23日 AFP】エナジードリンクメーカー、レッドブル(Red Bull)のオーナーで、フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)チームを創設するなどスポーツ帝国を築いたディートリッヒ・マテシッツ(Dietrich Mateschitz)氏が、22日に78歳で死去した。同社が発表した。

 レッドブルは、マテシッツ氏の死に対する「悲しみ」と、「偉業への感謝」を表明した。

 F1チームのレッドブルを率いるクリスチャン・ホーナー(Christian Horner)代表は、マテシッツ氏はチームの熱烈なサポーターであり、「われわれの活動すべての背骨」だったと表現して同氏を悼んだ。今季第19戦米国GP(United States Grand Prix 2022)の会場で、ホーナー代表は「とても悲しい」と話し、「これまでの実績や、世界中の大勢の人や多くのスポーツのために成し遂げたことを考えれば、まれに見る偉人だ」とたたえた。

 推定274億ユーロ(約3兆9900億円)の純資産を持ち、オーストリア一の富豪として2022年の米経済誌フォーブス(Forbes)で名前が挙がったマテシッツ氏は、ドイツの化粧品会社でマーケティング部長を務めていた頃、出張先の香港の高級バーを訪れた際、アジアでは一般的な甘い飲みものを出されたことをきっかけにレッドブルのアイデアを思いついた。

 マテシッツ氏はその飲料をすぐに気に入り、さらに時差ぼけの解消にもつながったらしいことに感銘を受けると、同ドリンクを開発したタイの実業家チャリアオ・ユーウィッタヤー(Chaleo Yoovidhya)氏との提携を思い立ち、1984年にレッドブルを共同創業した。

 フシュルアムゼー(Fuschl-am-See)に拠点を定めた同社はその後、ゆっくりと、しかし確実に欧州の消費者の心をつかみ、巧みなマーケティング戦略とスポーツとの連携を武器に世界中で成長していった。(c)AFP