■ベレット氏「人種差別の被害者」

 9月に行われた世論調査では、回答者の17%が王室に対する評価を下げた。その理由としてほぼ全員が、王女とベレット氏の婚約を挙げた。

 ベレット氏は、自身の信仰が一部の人にとって奇異に映ることは理解できるとした上で、自身は人種差別の被害者だと訴えている。

 同氏は婚約発表直後の6月9日にインスタグラム(Instagram)に投稿した動画で、「われわれが一緒にいることについて、白人から無数の憎悪の言葉と殺害予告が届いた。王室に黒人男性が加わるのを見たくないからだ」との見方を示した。

 マッタ・ルイーセ王女は過去に離婚している。元夫の作家アリ・ベン(Ari Behn)氏は、離婚から3年後の2019年12月に自殺した。

 王女が物議を醸したのはこれが初めてではない。さまざまな代替療法を好む王女は、自分には天使と会話する能力があると公言し、この「才能」から商業的な利益も得ている。

 最近行われた複数の世論調査では、ノルウェー国民の半数以上が、王位継承順位4位のマッタ・ルイーセ王女に、王女の称号を放棄してもらいたいと考えていることが明らかになった。

 王女をめぐっては2002年、「超能力者」としての活動に専念するため公務から退いた際に、「殿下」の敬称が使用されなくなった。19年には、商業活動では「王女」の称号を使わないことにも同意した。

 普段は冷静なノルウェー人も、王女とベレット氏の一風変わった言動については受け入れ難さを感じているものとみられる。

 歴史家のトロント・ノレン・イーサクセン(Trond Noren Isaksen)氏は「王室は、国民を一つにまとめる役割を果たすべきだ。問題は、マッタ・ルイーセ王女とデュレク・ベレット氏がその真逆であることだ。いかがわしい疑惑で物議を醸し、意見の対立を招いている」と指摘している。

 国王はこれまでのところ、未来の義息をめぐって「文化衝突」があるとだけ述べ、多くを語っていない。(c)AFP/Pierre-Henry DESHAYES