【10月21日 People’s Daily】1年で最も暑くなる時期が、水蜜桃の市場に出る日である。午前9時30分、北京市朝陽区(Chaoyang)のある住民の家には、水蜜桃の箱が早くも届けられた。集荷されてから配送まで、わずか16時間しかたっていない。前日の午後5時にはまだ四川省(Sichuan)成都市(Chengdu)竜泉駅区(Longquanyi)にある桃農園になっていた桃だ。農園に勤める蕭家捷(Xiao Jiajie)さんが桃を1つずつ自分の目で見て収穫した。

 四川省の竜泉駅は土壌が桃の栽培に向き、水蜜桃の産地として知られている。2016年、竜泉駅区の農業・農村局のサポートのもと、51世帯の農家が共同で合作社を立ち上げ、土地を現物投資し、大規模に苗を植え、生産・経営・販売を統一的に行った。蕭家捷さんはその技術の屋台骨を支える存在である。現在、合作社には147世帯の農家が加入し、果樹園の面積は1400ムー(約93万平方メートル)以上に達し、うち400ムー(約26万平方メートル)は桃の生産量が多い。

 合作社の桃のおいしさの秘訣は、品種と管理である。蕭家捷さんによれば、果樹園で栽培している品種はどれも地元の農業研究所で開発されたもので、専門家が常に科学的な栽培技術を指導している。新しい設備・栽培法・品種などにより、桃の品質は上がり続けている。

 45分後、蕭家捷さんが収穫した桃は速達便の配送ステーションに持ち込まれ、梱包され、速達便用の車に乗せられる。合作社の代表を務める陳慶豊(Chen Qingfeng)さんによれば、合作社と速達便の運送企業は協定を結んでいるので、価格も割引がきき、毎日少なくとも4便の車が合作社まで桃を受け取りに来る。今年の売り上げは200万元(約4000万円)に達する見込みで、うちEコマースを通じた売り上げが半分ほどを占めるという。

 それから1時間の旅程をたどり、水蜜桃は午後7時には成都双流空港(Chengdu Shuangliu International Airport)の貨物ステーションに到着する。ここで消毒・仕分け・積み下ろしなどの工程を経る。

 この時、地上にはすでに貨物列車が待機している。今年から、中国物流の大手順豊エクスプレス(S.F. Express)が水蜜桃の輸送用に投入した車両である。8月9日までに輸送件数は23万件を超え、輸送重量は1000トンを超えた。順豊エクスプレスは広東省(Guangdong)陽山県(Yangshan)に1万トンあまりを輸送する航空資源と専用貨物列車を400本用意しており、水蜜桃の販売半径は拡大した。

 午前1時20分には航空機が離陸し、飛行機を降りた後、水蜜桃は優先的に仕分けされ、車に乗せられ、16時間にわたる旅行を終えて、新鮮な状態のまま買い手のもとに届けられる。この旅程には速達便のインフラ整備と、航空・高速鉄道・道路などの輸送能力の大幅な向上が反映されている。

 今年の上半期、農村地区から発送された速達便は219億件にのぼり、オンラインにおける農産物の売り上げは2900億元(約6兆円)を突破した。速達便が都市と農村をつなぐことで、農民の増収や消費者の満足がもたらされている。(c)People’s Daily/AFPBB News