【10月20日 AFP】ロシア軍が掌握するウクライナ南東部マリウポリ(Mariupol)の親ロシア派当局は19日、旧ソ連の独裁者ヨシフ・スターリン(Joseph Stalin)が推進した「集団農業化」で引き起こされた大飢饉(ききん)の犠牲者を追悼するモニュメントを撤去した。

 ウクライナでは1932~33年、集団農業化で穀物などの食料が徴収され、数百万人が餓死する「ホロドモール(Holodomor、ウクライナ語で飢饉による殺害)」が起きた。これについてウクライナ側は人為的な飢饉であり、スターリンによる「ジェノサイド(集団殺害)」だと非難。一方、ロシア側は、飢饉は旧ソ連全土で起きていたとして取り合わない姿勢を貫いている。

 国営ロシア通信(RIA)は、市内に据えられていたモニュメントがトラックで撤去される映像を公開した。

 映像の中で、地元の広報担当者は「撤去しているのはモニュメントではない。住民、特に若者に対する政治的な偽情報の象徴だ」と主張。地元の大学教授は「悲惨な時代のことを市民に繰り返し思い出させる」のはやめた方がいいと語っている。

 マリウポリがあるドネツク(Donetsk)州の親ロシア派当局はメッセージアプリのテレグラム(Telegram)で、「(モニュメントに使われている)石材は建設資材に再利用される」と述べた。(c)AFP