【10月23日 AFP】1か月で7か国を移動し、ようやく到達した米国で妻と4歳の子どもと再会を果たしたホセさん(仮名)。ほぼ時を同じくして、米政府はベネズエラ移民に対して南部国境を閉鎖すると発表した。

 この時、成人しているもう一人の息子は、まだコロンビア-パナマ国境の危険な密林地帯、ダリエン地峡(Darien Gap)を移動中だった。今後、たとえ米国にたどり着けたとしても、送還される可能性が高い。

 AFPの電話取材に応じたホセさんは「昨晩はクリスマスを迎えた子どもよりも幸せだった」と語った。「でもニュースを見て、すぐに息子に連絡した。旅を断念するよう言いました」

 通常、ダリエン地峡を越えるには5日から6日かかる。ここではヘビや沼、麻薬密輸業者といった「悪条件」にさらされながらの移動が強いられる。

■米バイデン政権の政策転換

 米国土安全保障省は12日、陸路で米国に入るベネズエラ人をメキシコに強制送還すると発表。ビザ(査証)を持たずに南部国境を越えるほぼすべての移民に対する措置と同じになった。

 これまで米政府はベネズエラの極左政権が反対勢力を弾圧しているとして、同国からの移民に対する例外的措置を認めていた。

 措置を厳格化する代わりに今後はベネズエラ移民2万4000人に対し、人道的プログラムでの入国申請を許可する。ロシアによる侵攻を受けて国を離れたウクライナ人数万人を受け入れたのと同様の制度だ。

 これらの措置は、寛容な移民政策を求める民主党と「不法移民の波」の放置だと批判する共和党との間で落としどころを探るジョー・バイデン(Joe Biden)政権が、米中間選挙を1か月後に控えて導入した。