■兵器産業は弱体化か

 ロシアは主要な兵器生産国の一角を占めるが、自爆型ドローンに関してはイランに依存せざるを得ない状況に陥っている。

 ロシア軍のイーゴリ・イシュチュク(Igor Ischchuk)大佐は最近、国営タス通信(TASS)に対し、「国防省はドローンの戦術的、技術的な要件をまとめて提示した。残念ながら、(ロシアの)大半の企業が要件を満たせなかった」とし、「イラン製ドローンの導入は工業力の低下を認めたことになる」との認識を示した。

 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)に伴うサプライチェーン(供給網)の混乱で弱体化していたロシアの工業力は、ウクライナ侵攻に対する西側諸国の制裁で追い打ちをかけられた形だ。

 ノエル氏は「(ロシアは)技術的に優れている西側製の部品を入手できず、国内で大量生産を試みたがそれも頓挫した」とみている。

■イラン、トルコ間の競争に

 ドローンは必須の軍事アイテムとなりつつある。ミッタル氏は「イランとトルコの間で、市場支配や国家の影響圏拡大に向け、中位レベルの安価なドローンをめぐる兵器開発競争が繰り広げられているようだ」と指摘する。

 フランスのドローン専門家マリアンヌ・ルノー(Marianne Renaux)氏は、最上位機種の製造企業を擁するのは米国とイスラエルであり、「トルコ製ドローンはそれよりは一段劣るものの、高精度を欠くとみられるイラン製ドローンに比べれば信頼度は高い」と分析している。(c)AFP/Fabien ZAMORA