【10月19日 Xinhua News】中国で「中国生け花・日本華道」という書籍が、今から27年前の1995年に上海科学技術文献出版社から出版された。同書は、日本華道の主要流派の一つである池坊聖流の家元だった故・山本玉嶺氏と、上海市挿花・花芸(生け花・フラワーアレンジメント)協会の創始者である蔡仲娟(Cai Zhongjuan)会長2人によってまとめられた。

 1992年の中日国交正常化20周年に合わせ、上海植物園で生け花展が開催され、当時70歳を超えていた山本氏が招待された。同氏はその後十数年にわたり、両国の生け花と華道の交流の推進を自らの最も重要な務めとして、居住地の大阪と上海を何度も往復し、無料の講座を開くだけでなく、上海の生け花師を自費で日本に招き交流を深めた。

 蔡氏によると、山本氏は交流費用捻出のため、周囲の反対を押し切って、自らの土地を売却した。こうした情熱や功績が評価され、1990年代には上海市挿花協会(現上海市挿花・花芸協会)の名誉顧問として招聘されただけでなく、同市政府から社会的・経済的発展、国際交流に貢献した外国人に授与される「白玉蘭賞」も受賞した。

 このような交流を背景に出版されたのが「中国生け花・日本華道」で、中国の生け花師と日本の華道家の作品を各60点が収録されている。

 上海の生け花と日本池坊聖流の華道の交流はここ数年、さまざまな要因から縮小傾向にある。しかし、蔡氏は中国が豊かになるにつれ、人々は精神面での充実を求めるようになり、生け花はまさに新たな黄金期を迎えていると指摘、「日本の同業者に山本玉嶺先生の意思を継いでもらい、中日交流と友好を推進して、東洋の生け花と華道の素晴らしさをアピールしてほしい」と話した。(c)Xinhua News/AFPBB News