【10月18日 People’s Daily】2022年の夏、チャイナネットワークテレビ(CNTV)と上海メディアグループ(SMG)が制作した、ヒューマンドキュメンタリー映画「セカンドライフ(Second Life)」は、スターも豪華な制作もなく、平凡な作品に見えるが、ネットで6億回以上再生され、関連の話題が100回近く人気検索ワードに上がった。上海ドラゴンテレビ(Dragon TV)の放送期間中、全国の省レベルテレビでの同時間帯の放送番組の中でも、視聴率が一位だったという。

 成功の裏には、作品の質の高さのほか、ドキュメンタリーという芸術形式に対する現在の若い視聴者の好みもある。

 セカンドライフとは? それは、「挫折を乗り越え、新たな人生を迎える」ことだ。この映画は、あえて生活の「深海域」に入りこみ、人生の大きな転機に直面した普通の人々の戸惑いや反省、そして恐れずに再出発する勇気とたくましさを示してくれる。監督陣は、綿密な取材に携わり、社会のホットスポットを鋭く把握し、的確にとらえている。この作品は、問題意識と社会的責任感を持ちながら、時代の深さと広がりを十分に体現しつつ、温かみのある人間的な配慮で多くの人々の心を掴もうと努めている。

 制作陣は「手間のかかる工夫」を惜しまなかった。1人の撮影対象を平均1年半かけて撮影し、1万時間以上の映像を収録したが、それをわずか8時間の映画に凝縮した。多角的な視点での再現、主人公たちのモノローグ、見解の争いなどを通して、主人公も私たちと同じように、理想の人生に向かって懸命に走っていることを感じさせてくれる。このような共感は今、特に価値のあるもので、見知らぬ人同士の優しさを呼び起こし、温もりを与え、自らを癒やし、視聴者を「共感」から「あなたの選択への尊重」へと導いてくれる。

 ドキュメンタリー映画の魅力はどこにあるのか?

 真実は最も人の心を揺さぶる力だ。「人生は小説よりも奇なり」とよく言われるが、これは、まさに真実の力を証明している。しかし、ドキュメンタリーがどのような真実を記録するのか、周囲の世界に対する畏敬と撮られる人々への尊敬を保ちながら記録しているのか、これらすべてから、クリエーターの理解と考察が伝わってくる。

 見慣れたものは、自然と親近感がわき、共感しやすい一方、見慣れないものは、好奇心や探究心を刺激してくれる。まさにドキュメンタリーが得意とする分野だ。ヒューマンドキュメンタリーの日常生活の再現、科学ドキュメンタリーの新たな分野の紹介は、いずれもそれらの代表的なものだ。非凡な人たちは、両者を「融合・調整」することで、見慣れないものに見慣れたものを溶け込ませ、見慣れたものに新しいものを溶け込ませることができる。

 今の若者は、より広い視野、より豊かな体験、より高い審美眼と鑑賞力を持っている。心を込め、感情を込めて、工夫を凝らしてよい題材を創作すれば、きっと彼らの感性を捉え、人気を博すことができるだろう。(c)People’s Daily/AFPBB News