【10月14日 AFP】男子ゴルフでメジャー通算6勝を誇るフィル・ミケルソン(Phil Mickelson、米国)は13日、サウジアラビアが後援する新リーグのリブゴルフ・インビテーショナル(LIV Golf Invitational)シリーズについて、かつてのワールドシリーズクリケット(WSC)を引き合いに出して、自分は「勝ち組」を選んだと主張した。WSCは1970年代に行われたクリケットの大会で、短命ながらも競技に多大な影響力を与えた。

 サウジアラビア政府系基金パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)が後援するリブゴルフ・シリーズは、破格の契約金と各大会総額2500万ドル(約36億8000万円)の賞金で選手数十人を引き抜き、ゴルフ界に深い亀裂を生んでいる。

 地元サウジアラビアでは初開催となるリブゴルフ・シリーズの今季第7戦を週末に控える中、ミケルソンは紅海(Red Sea)沿岸に位置する会場のロイヤルグリーンズG&CC(Royal Greens Golf & Country Club)で報道陣に対し、ゴルフ界を分断している同シリーズについて、豪メディア王のケリー・パッカー(Kerry Packer)氏が創設して物議を醸したWSCと同様の道をたどっているとの持論を展開した。

「1970年代を振り返ってみると、クリケットで起きたことがおそらく最も好例になると思う」と切り出したミケルソンは、「約30年もの長い間、世界屈指のプレーヤーの大半がPGA(米ツアー)でプレーしている。それは二度とあり得ないだろう」とし、「自分が成功すると信じる方を選ぶべきだ。そして、今後の発展のあり方において自分は勝ち組を選んだと確信している」と語った。

 1977年から1979年まで行われたWSCは、クリケット界を分断しながらも、現在では当たり前となっているワンデーやデイナイトの試合方式を普及させた。その後、パッカー氏が豪クリケット協会(ACB)と契約を交わし、競技を二分した野心的な大会は終わりを告げた。

 リブゴルフ・シリーズがそれと同じ道をたどるのを止めるのは何かと問われると、ミケルソンはWSCがクリケットを「完全に変えた」と繰り返した上で、「自分はクリケットで育ったわけではないが、クリケットを進化させたりプロの選手に相応の報酬を支払ったりするために、ケリー・パッカー氏が何をしたのか分かるようになってきた」と語った。

「70年代当時は1試合の収入が200ドルくらいだったはずだ。選手たちは給料をもらえず、テレビ放映権もなくて、みんな他の仕事をしていた。それでも金は入ってきた」

「そして、ケリー・パッカー氏が現れて競技に関わり、選手の価値や貢献度に応じて報酬を支払うようになると、競技は完全に変わった。われわれは今、それを目撃している」 (c)AFP/Talek HARRIS