【10月16日 People’s Daily】中国中南部の湖南省(Hunan)長沙市(Changsha)は真夏になると、気温が40度に迫る。そんな中、長沙から東へ130キロの距離にある大囲山は市民の避暑地となっている。なだらかな起伏が緑に覆われ、澄んだ空気や涼しげな森林が心身に安らぎを与えている。この美しい景色は、森林保護隊員と森林長の日ごろの努力が下支えしている。

 長沙市は2021年、市、県、郷、村それぞれの自治体レベルで森林長制度を導入。市は11人、県は83人、郷は1068人、村は2390人で、計3552人の森林長が約60万ヘクタールに及ぶ森林の保護者になった。

 また、長沙市には常勤の保護隊員が約1160人いる。福新村の保護隊員、劉小培(Liu Xiaopei)さんは毎日、山に入って森林をパトロールする。「たばこの吸い殻やごみを片付け、害虫や病気を見つけ、けがをした動物を保護して…。やるべきことはたくさんありますね」。昨年12月には松の木が枯れているのを発見し、森林長の事務所に連絡。調査の結果、マツ材線虫と分かり、駆除を行った。

 保護隊員は1万ムー(約666ヘクタール)以内のエリアを担当し、無差別伐採や野外での火の使用がないか監視し、森林の害虫駆除や野生の動植物保護に努めている。

 森林長制度を支えているのが、最新技術だ。「ドローンを飛ばすと点検範囲が広がり、より便利になります」。葛家鎮の唐明(Tang Ming)さんはコントローラーを手にしながらドローンを操作する。カメラの映像で山奥の緑もくっきりと見渡せる。映像はインターネットを通じてデータベース化されている。

 一部の森林ではこれまで、木の伐採と販売が主な収入源だった。瀏陽湖国有林場の責任者、劉俊傑(Liu Junjie)氏は「森林の収入源は『切る』から『使う』へ変わっています」と説明する。付加価値の高い樹木を植え、果実や菌類の栽培、医薬への活用、牧畜、森林浴などの観光といった多くの産業を開発。今は、200万ムー(約13万ヘクタール)の森林で年間100億元(約2043億円)以上の生産をもたらしている。

 長沙市林業局の鄧陽鋒(Deng Yangfeng)局長は「地域の党委員会と行政部門が森林長制度を導入し、多くの人々の力を集結したことが大きな成果をもたらしている」と話している。(c)People’s Daily/AFPBB News