【10月13日 東方新報】「中国は自動車輸出台数で、今年中にも世界2位になりそうだ」

 中国自動車工業協会の陳士華(Chen Shihua)副事務局長は9月下旬、北京で開かれた「2022世界コネクテッドカー大会」の会場でそう語った。中国がドイツを抜き、日本に次ぐ自動車輸出大国になろうとしている。

 中国の自動車輸出は2012年に初めて100万台を超えた後、100万台前後を推移する低迷期が続いた。2020年も99万5000台だったが、2021年になると201万5000台とほぼ倍増。日本の382万台、ドイツの230万台に続く世界3位に躍り出た。

 今年は1~5月の輸出台数ではドイツを抜いた。さらに1~8月の輸出台数は前年同期比53%増の181万7000台に達し、8月だけで30万8000台と月間最高記録を樹立。この流れが続けば年間でも世界2位に躍り出る見込みだ。

 輸出急増のけん引役となっているのが、新エネルギー車(NEV)だ。中国は国策として電気自動車(EV)、燃料電池車(FCV)、プラグインハイブリッド車(PHV)の開発を推進してきた(ハイブリッド車は含まない)。中国はガソリン車の開発では後発組で、エンジン、トランスミッション、シャシーの三大部品でドイツや日本などに大きく後れを取っている。一方でNEVは電池、電動機、電子制御技術で強い競争力を持つようになった。輸出先はベルギー、英国、フランス、ノルウェーなどの欧州諸国をはじめ、インドやタイ、オーストラリアなど各国に広がっている。EV大手の比亜迪汽車(BYD)は来年から日本でEVの販売を始めると表明している。

 1~8月のNEV輸出台数は34万台。これは外資系メーカーの現地法人を含んだ数字で、米テスラ(Tesla)上海工場からの輸出が全体の半数近い15万9000台を占める。ただ、同社の上海工場は部品の現地調達率が95%以上、従業員の99.99%が中国人で、実質的に「メード・イン・チャイナ」と言える。

 一方で、陳士華氏は「データから過度に楽観するのは禁物だ。国際競争力の観点から、中国メーカーはまだまだ課題もある」と指摘。自動車大手各社もそれを認識している。広州汽車集団(Guangzhou Automobile Group)の郁俊(Yu Jun)副社長は「国際市場の競争は、自動車の品質の比較にとどまらない。エコロジーの観点など、総合的な競争の時代に突入している」と話す。新興EVメーカー・上海蔚来汽車(NIO)の奉瑋(Feng Wei)CFOも「国によって基礎インフラも車の習慣も異なるため、製品もサービスも現地化を図らなければいけない」と課題を挙げる。中国メーカーは手綱を緩めず輸出攻勢を続け、日本を猛追しようとしている。(c)東方新報/AFPBB News