【10月15日 AFP】ロシア軍が占領した地域に対するウクライナ軍の瞬く間の反撃で、ドネツク(Donetsk)州の森林地帯にあるシチュロベ(Shchurove)村が奪還・解放された。ここは忙しい都会生活を離れ、自然の中で休息を求める家族連れや釣り人に人気のリゾート地だった。

 だが占領と激しい戦闘で、かつてあったこぎれいなバンガローやカントリースタイルのホテルは破壊され、通りからは人の気配も消え去った。

 住民200人のうち残ったのはわずか20~30人で、唯一の訪問者は廃虚の中で機嫌よくくつろぐウクライナ軍兵士だけだという。

 生まれたときからずっとこの村に住んできたスビトラナ・ボリシェンコさん(65)は「どうやって生き抜いたのかは神のみぞ知るところです。私たちのうち生き残ったのは数人だけです」と語った。

 夫と死別していたボリシェンコさんは村を占領したロシア軍のために2回、強制的に料理と掃除をさせられたと話した。

 時折遠くで鈍い爆発音が聞こえた。だが、ウクライナ軍の砲兵は、ロシア軍は今や5キロ以上離れた位置にいるとAFP記者に語った。

 4階建ての学校はコンクリートのがれきと使用済みの薬きょうに埋もれた廃虚と化したが、その屋上には青と黄色のウクライナ国旗が翻っている。屋内には、突然の撤退で置き去りにされた汚れた寝具や脱ぎ捨てられた衣服とともに、ロシア軍の弾薬箱に入った銃弾数百発が残されていた。(c)AFP/Dave CLAR