【10月11日 AFP】ウクライナ東部ハルキウ(Kharkiv)州で、同国軍の砲兵部隊は、撤退するロシア軍に新たな防衛線を構築する隙を与えまいと追撃の手を緩めない。

 ウクライナ軍は先月同州で、戦車・歩兵部隊が先導した一連の反転攻勢により優勢に立った。要塞(ようさい)を包囲され孤立したロシア軍は、撤退を余儀なくされた。

 とはいえ、砲兵部隊の役目が終わったわけではない。第14機械化旅団をはじめとする部隊は、前線の後方にいるロシア軍に追い打ちをかけるため、前進を続け、砲弾やロケット弾で奇襲するのだ。

 ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領の支持派は、最近の敗勢をめぐり、自国軍が対戦しているのは北大西洋条約機構(NATO)の兵器を大量に保有する傭兵(ようへい)軍だとして、西側を非難している。確かに西側からは、最新鋭の兵器がウクライナに納入されている。

 だが先週、ハルキウ州東部でウクライナ軍の砲兵部隊が使っていたのは、ソ連時代にさかのぼる兵器、6輪トラック「ウラル(Ural)」に搭載された多連装ロケット砲のBM21「グラート(Grad)」だった。

 グラートは60年前に設計された兵器だが、隊長のドミトロさん(22)は、前線の向こう側にある倉庫に集まったロシア軍に高火力の砲弾を撃ち込むという任務には適していると語った。

 グラートは、6人一組で操作する。ドミトロさんは目標座標を無線で受信し、40本のロケット弾発射管を積んだトラックを、隠れていた場所から開かれた農地へと移動させる。

 ドミトロさんは、地図情報が入ったタブレットで攻撃軌道を計算して隊員に通知。隊員は発射管を上げ、ランチャーを回転させながら攻撃する。

 122ミリロケット弾のまず第1弾が、ごう音とともに発射された。その後発射管の高さが調整され、第2弾の発射が行われた。発射管40本のうち、15本が空になった。発射地点から標的は見えないが、ドミトロさんは「ロシア兵に命中し、彼らは任務を遂行できないだろう」と確信している。(c)AFP/Dave CLARK