【10月11日 Xinhua News】中国湖南省(Hunan)長沙市(Changsha)雨花区の井巷(せいこう)社区(コミュニティー)は典型的な高齢化社区で、60歳以上の住民が6割以上を占めている。ここでは、高齢者に関することが最優先事項であり、スピーカーや拡声器、ホットラインなどが大活躍している。

 社区の居民委員会の廊下に設置されたメッセージボードには「スマホを使えないので社区の重要通知に気が付かなかった」「年寄りを『洗脳』して健康食品を押し売りするのをやめさせてほしい」など高齢者からの要望が多く寄せられており、職員が一つひとつ回答していた。

 高齢者住民が訴える情報伝達の不備について、社区ではスピーカー7台を設置し、停電や断水、新型コロナウイルスワクチンの接種や核酸検査などの通知のほか、最新の政策、詐欺防止の知識なども放送している。

 同社区のボランティアリーダーを務める呉固根(Wu Gugen)さん(73)は拡声器を持ち歩いている。呉さんはすでに仕事を定年退職しているが、毎日を忙しく過ごす。国慶節連休の期間も例外ではなく、午前8時に勤務につくと、日中は社区内の清掃、夜は安全パトロールをしていた。パトロール時には拡声器を使って、戸締りや防火、防犯を呼び掛ける。ボランティアチームのメンバーは現在20人を超えるが、多くが呉さんと同じ60歳以上の高齢者だ。

 社区には、公益団体が運営するホットラインも開設されている。オペレーターは24時間交代で対応し、配管の詰まりや電気製品の故障などは専門の修理業者がすぐに駆けつける仕組みになっている。

「雷鋒スーパー」と呼ばれる公益スーパーは、高齢者に米や野菜を配達するほか、公共料金の支払い代行などのボランティアサービスも提供している。他にも長者学堂(高齢者を対象にした教養講座)や医療介護機関、高齢者食堂、娯楽室などが高齢者向けサービスの拠点になっている。

 社区の高齢者住民、周旺清(Zhou Wangqing)さんは、心のこもったサービスの一つひとつが彼に安心感をもたらしていると話す。毎日早朝には社区の公園を散歩し、気心の知れた友人と世間話をするのが日課の周さんは「ここは人情味にあふれている。老後を安心して過ごせる良い場所だ」と元気そうに語った。(c)Xinhua News/AFPBB News