■ふりだけ?

 ベラルーシの関与拡大、核兵器使用の脅し、残虐な攻撃の増加──。これらは、戦況を転換させたいプーチン氏に残された、短期的に取り得る数少ない選択肢だ。

 アルバーク氏は、10日のミサイル攻撃はウクライナと西側に対する圧力を強めたいプーチン氏の戦略の一環だと指摘する。

「ロシアは(敵に)衝撃を与えるサイクルに入っており、暴虐性のピークに達している。そのサイクルは部分的動員令、(ウクライナ4州の)併合に始まり、核兵器使用の威嚇へと続いた。今は市民に対する無差別攻撃に入っている」

 ボジロフ氏も、「プーチンは発電施設や民間インフラを破壊してウクライナ社会に圧力を加えるとともに、西側諸国にも圧力をかけて結束を切り崩そうとしている」と分析した。

 ボジロフ氏によると、市民への攻撃は、プーチン氏にとって「何でもやりかねない」との自身の印象を醸成するのに役立ってもいる。

 しかし、ロレンツ氏は、ロシア軍が10日のような大規模ミサイル攻撃を繰り返すのはあり得ず、一方で西側諸国はウクライナの防空支援を強化する可能性が大きいとの見方を示した。

 ロレンツ氏は、「ロシアの精密攻撃能力は限定的だ。国際社会の制裁もあり、それを早急に立て直すこともできなくなっている」と指摘。「力を誇示することはできるが、資源が損耗しているため、ふりにすぎない」と語った。(c)AFP/ Adam PLOWRIGHT and Daphne BENOIT