【10月11日 AFP】ロシアは10日、ウクライナの複数の都市を大量のミサイルで攻撃した。ベラルーシもロシアとの合同部隊を展開すると表明し、ウクライナにとって新たな脅威となった。西側の専門家は、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領はこのところの屈辱的な負け戦の挽回に向け、「エスカレーション」を模索しているとみている。

 プーチン氏は、ウクライナに対するさらなる「苛烈な」攻撃を警告。安全保障会議の副議長を務めるドミトリー・メドベージェフ(Dmitry Medvedev)前大統領も、「エピソード1は幕を閉じたが、まだまだある」と語り、攻撃の続行を予告した。

 専門家は、今回の攻撃について、ロシアと2014年に併合されたウクライナ南部クリミア(Crimea)半島を結ぶ橋で8日、爆発が起きたことへの報復とみられると語っている。

 ブルガリアのシンクタンク、ソフィア安全保障フォーラム(Sofia Security Forum)のディレクター、ヨルダン・ボジロフ(Yordan Bozhilov)氏は、橋の爆発について、「プーチンが初めて個人的な屈辱を味わわされた」と指摘した。

 爆発をめぐりウクライナは責任を認めていないが、ロシアは直ちにウクライナ側の仕業だと非難した。それより数週間前、ロシア軍はウクライナ東部の要衝リマン(Lyman)一帯、さらに南部ヘルソン(Kherson)州でも強力な反撃を食らっている。

 ポーランド国際問題研究所(Polish Institute of International Affairs)の安保問題専門家、ボイチェフ・ロレンツ(Wojciech Lorenz)氏はAFPに対し、「ロシアは紛争をエスカレートさせる能力を依然有していることを示した。だが、それはより多くの市民を標的にすることによってのみ可能となる」と語った。

「ロシア政権は、内部でさまざまなプロパガンダや主張を唱えるグループにより、ウクライナ側の攻勢に反撃できる能力があることを示すよう圧力をかけられている」

■ベラルーシ

 プーチン氏の盟友、ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ(Alexander Lukashenko)大統領は10日、ロシア軍と合同の「地域部隊」を展開することで同国と合意したと発表。どこに派遣するか言及しなかったが、ロシアのウクライナ侵攻にいずれ加勢するのではないかとの懸念が広がった。

 ルカシェンコ氏はこれまで、自国領土をロシア軍が使用するのは容認していたが、国内から直接、部隊をウクライナに送り込むことは拒否してきた。

 英シンクタンク、国際戦略研究所(IISS)のウィリアム・アルバーク(William Alberque)戦略・技術・軍備管理部長は、「ベラルーシが紛争に参加するかは疑問だ。ベラルーシ軍は主に自国民の弾圧に携わっている」と話した。

 ロレンツ氏もベラルーシの直接的な参戦の可能性には懐疑的だ。ただ、「ウクライナとしてはある程度の(軍事)資源を(ベラルーシとの)国境防衛に振り向けざるを得なくなるだろう」と予想。ウクライナにとっては、「西・北部に数千人の部隊を割くのではなく、東部での(対ロシア)防衛に資源を集中させた方が良い」と説明する。