【10月15日 AFP】イスラム教徒の女性が髪を隠すスカーフ「ヒジャブ」は、イラン政府にとって抑圧の道具になるかもしれないがアキレス腱(けん)にもなり、「ベルリンの壁(Berlin Wall)」崩壊のような事態につながるのを政府は阻止しようと努めている──米ニューヨークを拠点に活動するイラン人ジャーナリストで人権活動家のマシー・アリネジャド(Masih Alinejad)氏(45)はAFPにこう語った。

 2009年にイランを離れたアリネジャド氏が知られるようになったのは2014年。イラン人女性にヒジャブ着用義務への抗議を呼び掛ける運動「mystealthyfreedom.org」をソーシャルメディアで立ち上げてからだ。

 イランでは先月ヒジャブの着用をめぐり「道徳警察」に逮捕されたマフサ・アミニ(Mahsa Amini)さん(22)が拘束下で死亡。この出来事に抗議するデモが全土で続いている。ツイッター(Twitter)で50万人、インスタグラム(Instagram)で800万人のフォロワーを持つアリネジャド氏は、亡命先の米国で毎日、抗議に連帯する投稿をしている。

「私から見て、ヒジャブ着用の強制はベルリンの壁のようなものです。この壁を壊せば、(イラン・)イスラム共和国は存在しなくなる」とアリネジャド氏はAFPに語った。「ヒジャブの強制は(イラン・)イスラム共和国にとってアキレス腱。だからこそ政権はこの革命を本当に恐れています」

 ヒジャブは「私たちを抑圧し(中略)女性を支配するための道具」であり、「女性を通じて社会全体を支配するためのものです」。

 イラン人女性が「服装を指図する人側にノーと言う」ことができるようになれば、独裁者にノーと言う力を持つようになるとアリネジャド氏は主張する。

 また、政府のイデオロギーを示すための政治的プラットフォームとして女性の体が使われていることに、若者は抗議しているとも指摘した。