【10月11日 People’s Daily】青海省(Qinghai)中部のバヤンカラ山脈の北麓を水源とする黄河は、甘粛(Gansu)、寧夏回族自治区(Ningxia Hui Autonomous Region)、河南(Henan)など9つの省・自治区を流れる中華民族の「母なる川」だ。全国の水資源の2%で、全国の人口の12%、耕地の17%、50以上の大中規模都市に水を供給している。黄河流域の一人当たりの水資源は全国平均の27%にすぎない。

 近年、黄河流域の各省・区は、水資源の集約・節約利用のレベルを継続的に向上させ、スマートな水利用技術の推進によって、黄河の水をうまく利用している。

 黄河流域全体で見ると、農業が用水全体の6割以上を占めている。黄河の「蛇口」を締めるには、その水資源を有効に利用し、大・中規模の灌漑(かんがい)地域の近代化改造を加速させ、スプリンクラー灌漑、マイクロ灌漑、水と肥料の統合などの節水技術を普及させ、農業の節水と効率化を進める必要がある。

 関連データによると、黄河流域の農地における灌漑用水の有効利用係数は2019年の0.554から2020年には0.566に上昇し、耕地1ムーあたりの実際の平均灌漑用水量は、全国平均より低くなっていることが分かった。2025年には、農地における灌漑用水の有効利用係数が0.58以上に達し、農業用水の節水レベルはさらに向上する見込みだ。

 中国水利省黄河水利委員会の敷地内に展示されている緑地用インテリジェント灌漑システムは、緑地の必要水量をリアルタイムで予測し、土壌が「渇いている」かどうかの遠隔監視が可能だ。実際に緑地の灌漑に使われる水は、集水システムで集められた雨水、中水(雑用水)、エアコンドレン水などを複合浄水タンクで浄化した水だ。2021年12月に黄河流域の水資源節約利用方案が発行されたことで、このようなスマート用水のための新技術や機器が、より広く使われることが見込まれる。

 今、黄河流域では、いくつもの町や産業が、スマート給水モデルを採用しようとしている。総合的なスケジュール管理や、計測・課金などの機能を統合したスマート給水プラットフォームは、水圧や水量情報の全エリアでのリアルタイムの制御が可能だ。用水の異常が発生しても、システムによる検知によって、速やかにスタッフに通知し、現場に向かわせることにより、現場調査・応急修理を行うことができるため、漏水による損失を最小化することができる。

 また、地下水の過剰採取など、発見が困難な問題に対しても、よりスマートなクラウド監視・測定システムが大きな助けとなっている。情報筋によると、華北エリアには6392もの地下水モニタリングステーションがあり、年間20万立方メートル以上の地下水の大口利用者のオンライン測定とモニタリングを実現し、不当な地下水採取の厳格な抑制が可能だという。今後、黄河流域の水資源の利用と管理は、スマート化・精密化の方向へと発展していくだろう。(c)People’s Daily/AFPBB News