【10月10日 People’s Daily】中国西部の青海省(Qinghai)は青海チベット高原の後背地に位置し、長江、黄河、瀾滄江(メコン川上流部)の源流地帯として毎年600億立方メートルもの清水を下流に運んでいる。

 青海省玉樹チベット族自治州(Yushu Tibetan Autonomous Prefecture)では今年に入り、中国水利省による源流科学調査が始まった。三大河川の源流地帯の氷河や河川の流れなどを調査し、氷の貯蔵量や湿地の炭素量を重点観測する。

 長江支流の源流には、標高5000メートルを超える大氷河がそびえ立っている。調査チームは機器を設置し、ドローンを飛ばして全貌を調べている。水利省長江科学院総工程師の徐平(Xu Ping)氏は「地中レーダーを使って氷の貯蔵量と変化を計算し、氷河が解けた量を分析しています」と説明。氷河の融解の実態を把握することで、生態学的リスク回避するための科学的対策を組み立てる。

 調査の科学水準は常にアップグレードされている。長江科学院水資源総合利用研究所水資源管理研究室の洪暁峰(Hong Xiaofeng)副主任は「氷河の表面をミリ単位の精度で計測しています」と話す。無人の気象ステーションは各地の気温、湿度、日射量、降水量などを計測し、現地調査が困難なエリアのデータも確保している。平均標高約4800メートルの当曲湿地では、掘削機がサンプルを採取し、ドローンが上空から写真撮影を行っている。

 今回の調査では、広いエリアで土壌の炭素含有量や炭素吸収能力を調べている。長江科学院科学技術交流・国際協力事務所の趙登忠(Zhao Dengzhong)副所長は「生態系の炭素吸収能力を改善することは、地球規模の気候変動対策で重要な役割を果たします。源流地域の二酸化炭素(CO2)吸収能力の調査は、今回の焦点です」と明かす。2030年までにCO2の排出量をピークアウトさせ、2060年までに排出量を実質ゼロにするという中国の公約実現のため、高原の炭素循環メカニズムの解明は重要な役割を担う。(c)People’s Daily/AFPBB News