【10月9日 Xinhua News】中国四川省の通済堰(つうさいえん)が6日、2022年度(第9回)の世界かんがい施設遺産に登録された。都江堰(とこうえん)かんがいエリア内で2件目の世界かんがい施設遺産となる。都江堰と通済堰はいずれも2千年余りの歴史を持ち、形勢を利用して利を導き、土地の状況に応じて対策をとるという中国の治水理念を反映している。

 通済堰の入り口は、成都市新津区の南河、西河、金馬河が合流する地点にある。中国の歴史で最も規模が大きく、運用期間が長い可動堰であり、現在も都江堰かんがいエリアの重要構成部分として、成都と眉山2市4県に生活用水や生産用水、生態用水を提供している。かんがい面積は52万ムー(約3万5千ヘクタール)に達する。

 史料によると、通済堰が築かれたのは前漢時代の紀元前141年で、上流の都江堰より110年余り遅い。その後も各時代の整備を経て、流水を制御する堰や導水路など現在に至るかんがいシステムを形成し、岷江流域では珍しい堰による導水施設となった。

 現代になると、かんがいエリアの農工業の発展により既存の施設では地域の需要を満たすことができなくなったため、2005年にコンクリートダムに再建され、低堰による導水の歴史は幕を閉じた。現在の通済堰は設計導水量毎秒48立方メートル、年間導水量13億立方メートルで、100万人を超える人々に恩恵をもたらしている。(c)Xinhua News/AFPBB News