【10月6日 Xinhua News】日本の家電量販店でここ数年、中国ブランドの家電製品が目を引く場所に置かれるようになった。品質に厳しい日本市場で、中国家電はもはや「安物」の代名詞ではなくなり、かつて売り場の「主役」だった国内製や欧米ブランドを上回る勢いで人気を伸ばしている。

 日本経済新聞はこのほど「中国家電、店頭は『主役級』」という見出しで、中国の家電を取り上げた。記事は、大手の海信集団(ハイセンス)が日本に研究開発(R&D)拠点を設け、若者向けに開発した新製品が人気を博しており、商品が量販店の目立つ場所に並べられるなど、日本の大手ブランドによる寡占を打ち破ったと報道。英調査会社ユーロモニターインターナショナルのデータを引用し、ハイセンスの日本でのテレビ販売台数シェアが、2017年にはわずか2・4%だったのが昨年は12・9%と5位に浮上し、首位のシャープとの差はわずか約9ポイントだったと伝えた。

 ハイセンスジャパンの李文麗(Li Wenli)社長によると、同社は10年末に日本法人として設立。翌11年に日本市場で商品の販売を始め、数年の開拓期間を経て、今では若者を中心とする日本の消費者に強く支持される家電ブランドに成長した。

 ハイセンスブランドのテレビや冷蔵庫、洗濯機、エアコン、オーディオなどはここ数年、日本の大手家電量販店やホームセンター、電子商取引(EC)プラットフォームのほぼ全てに進出。家電量販店大手ビックカメラの販売員は「当店ではさまざまなハイセンス製品を取り扱っている。製品に対する客の評価は高い」と語る。

 従来型の家電製品に加え、中国で台頭する「スマート家電」も日本市場で異彩を放っている。日本経済新聞の記事によると、中国のスマート家電メーカー、安克創新科技(アンカー)が展開する持ち運びしやすい家庭用プロジェクターがテレビ離れの進む若者に支持され、日本市場の主流を占めている。日本の調査会社BCNによると、21年の日本のプロジェクター市場で、アンカーは販売シェアを14・8%に伸ばし、前年の3位圏外から2位に急浮上した。

 ハイセンスジャパンの李社長は、中国ブランドや中国製品は海外市場でスポットライトを浴びる主役になりつつあると指摘。これは中国経済の10年近くにわたる発展の必然の結果であり、同社を含む多くの中国企業が国際化への道を歩み続けていることを示していると語った。

 12年、中国家電大手の海爾集団(ハイアール)が旧三洋電機の洗濯機や家庭用冷蔵庫などの事業を買収。東芝が16年に白物家電事業を中国家電大手の美的集団に、18年にはテレビ事業をハイセンスにそれぞれ売却した。中国の家電メーカーはこの10年近く、日本メーカーの事業の合併・買収(M&A)を通じて急成長を遂げ、サプライチェーン(供給網)の連携を強化し、ウィンウィンの局面を切り開いてきた。

 中国税関総署の統計によると、21年の中日間の貿易額は前年比17・1%増の3714億ドル(1ドル=約145円)に上った。中国製品は日本市場に深く浸透し、「メードインチャイナ」は日本の消費者にとって生活に欠かせない一部となっている。(c)Xinhua News/AFPBB News