【10月5日 AFP】インド宇宙研究機関(ISRO)はこのほど、火星探査機との通信が途絶えたと明らかにした。インドは8年前、低価格の探査機を周回軌道に投入し、アジアで初めて火星探査を成功させた国となった。

 ISROは発表で、火星探査計画「マーズ・オービター・ミッション(MOM)」で技術力を示すため寿命6か月を想定し開発された探査機が、8年にわたり重要な科学的成果を成し遂げたとしている。

 4月の日食で太陽光が遮られたため、「推進剤を使い果たしたに違いなく」「寿命を迎えた」という。

 2013年に打ち上げられたMOM探査機は、翌年、火星の周回軌道に投入された。

 探査機の打ち上げにかかった費用は45億ルピー(現在のレートで約80億円)と、米航空宇宙局(NASA)がその直後に打ち上げた火星探査機の費用4億5500万ドル(約660億円)の6分の1以下にとどまった。

 ナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相は後に、製作費約1億ドル(約140億円)とされるハリウッド(Hollywood)の大ヒット映画『ゼロ・グラビティ(Gravity)』よりも、インドの探査機の方が安かったと冗談を言った。

 ISROは、ミッションでは火星の大気の組成を理解することができたとし、「惑星探査の歴史において、技術的・科学的偉業だと永遠に評価されるだろう」とたたえた。(c)AFP