【11月6日 AFP】地球の気候変動はあまりにも急激で、人間がそれを修復するチャンスは尽きつつある──チンパンジー研究で世界的にも著名な霊長類学者のジェーン・グドール(Jane Goodall)氏(88)が、AFPとのインタビューで警告した。

 数十年にわたって環境保護活動の先頭に立ってきたグドール氏は、人為的な地球温暖化による最悪の結果を食い止めることができる時間は急速に減っていると語った。

 米ロサンゼルスでインタビューに応じたグドール氏は「文字通り、私たちは取り返しがつかない段階に近づいています」と述べた。「気候変動によって世界中で起きていることを見てください。恐ろしい限りです」

「私たち(人間)は自然界の一部であり、健全な生態系に依存しているのです」

 グドール氏の功績で最も知られているのは、タンザニアでの60年にわたるチンパンジー研究で、集団間で争う傾向や感情を表現する能力など、チンパンジーの「人間らしい」行動を見いだした先駆者だ。

 いくつもの著作があり、数多くの映画で描かれたこともあるグドール氏は、ブロック玩具のレゴ(Lego)や「バービー(Barbie)」人形のモチーフにもなっている。

 英国人のグドール氏が環境問題に目覚めたのは1980年代。仕事でモンゴルに滞在中、木が伐採されて丸裸にされた丘陵地帯を見た時だ。

「人々が木を切り倒す理由は、土地を広げ、家族が増えるのに合わせて食べ物を栽培するため、それから炭や木材で稼ぐためでした」

「だから、こういう人々が環境を破壊せずに生計を立てる方法を見つけられるよう助けなければ、チンパンジーも、森も、何も救えないのです」

 グドール氏はここ数十年でいくらか改善が見られるようになったとしながらも、行動をもっと急ぐべきだと訴えた。

「やるべきことは私たちには分かっています。つまり、ツールは持っています。しかし、経済的利益という短期的思考と、将来を見据えた長期的な環境保護が相いれないのです」

「このことによって生まれる問題はあまりに大きく、それを解決できるふりをするつもりはありません。それでも解決策を模索せず、環境を破壊し続ける道を選んだなら、私たちに未来はありません」