【10月5日 AFP】フィンランドは4日、ロシア革命の指導者ウラジーミル・レーニン(Vladimir Lenin)の国内最後の銅像を撤去した。像があった南東部の都市コトカ(Kotka)には、撤去を見ようと数十人が集まった。

 像は台座から外されてトラックで運ばれた。撤去の際、持ってきたシャンパンで祝う人もいれば、ソ連の国旗を手に抗議する人もいた。

 見物客の一人、マッティ・レイコネンさん(77)は「世界で最も残忍な政治体制であるソ連型共産主義の創始者の像が街から撤去されるのは素晴らしい」と述べた。

 都市計画責任者マルック・ハンノネン(Markku Hannonen)氏によると、「ある程度愛着がある」「少なくとも慣れ親しんでいる」との意見もあったが、「フィンランド史における抑圧の時代を反映している」として撤去を求める声も多かったという。

 フィンランドは第2次世界大戦(World War II)でソ連と激戦を繰り広げたが、東西冷戦(Cold War)中には、ロシアが侵攻しないと約束する見返りに中立を維持することに合意。自国よりも強大な隣国を刺激しないためのやむを得ない中立化は「フィンランド化」と呼ばれるようになった。

 多くのフィンランド人はレーニン像について、過ぎ去った時代の象徴であり、捨て去るべきだと考えている。 

 レイコネンさんは「レーニン像を歴史的記念物として保存すべきだとの意見もあるが、ほとんどの人はなくすべき、ここにあるべきではないと考えている」と述べた。

 像は1979年、現在のエストニアの首都となっているタリンから贈られた。

 日刊紙ヘルシンギン・サノマット(Helsingin Sanomat)によると、像は何度か攻撃を受け、破損・汚損している。腕を赤く塗られた際には、フィンランドがロシアに謝罪する事態となった。(c)AFP