■「雲の合間を飛ぶ」

 夜の暗闇の中に見えるのは、氷上を照らすランタンの列だけだ。

 一人、また一人と安全ベルトにしっかりつかまり、30メートル下の谷底に落ちないよう、慎重にアイゼンを氷に突き刺して進んでいく。

 登るにつれて酸素レベルが下がり、気温も氷点下10度まで落ち込んだ。山頂近くで、メンバーのうち2人が力尽き、断念した。

 夜明けの光が差すと、18~42歳の日焼けした女性たちの顔が輝いた。眼下の雲の合間には、雪をかぶった山の頂がいくつも突き出している。チョリータたちは立ち止まって携帯電話を取り出し、日の出を撮影する。

 険しく狭い最後の坂をロープにつかまり、ゆっくり進むと山頂に着いた。全員が笑顔で抱き合い、踊り出した。「頂上にたどり着くと、雲の間を飛んでいるみたいです」とリュスコさん。数メートル下の平地で、女性たちはサッカーに興じた。

 アルゼンチンにある南米最高峰アコンカグア(Aconcagua)を2019年に制覇したチョリータスの14人の次の目標は、世界最高峰エベレスト(Mount Everest、標高8849メートル)だ。

「私たち女性はいくつかの障壁を打ち破ってきました。(中略)アイマラ文化を高く掲げて、さらに進んでいきたいです」とリュスコさんは語った。(c)AFP/Martín SILVA