【10月8日 AFP】ウクライナ軍は同国東・南部4州の併合をロシアが宣言したその翌日、その一つ、東部ドネツク(Donetsk)州にある要衝リマン(Lyman)を奪還した。

 東部ハルキウ(Kharkiv)州クピャンスクブズロビー(Kupiansk Vuzlovy)は鉄道の合流地点となっている。ここを通る列車は侵攻開始後の半年間ロシア軍の物資を南へ向かって運んでいた。だが、攻撃の爪痕が残る近代的な駅は今、ウクライナ兵がパトロールし、線路は沈黙している。後退したロシア軍にとっては、重要な補給路の一つが断ち切られた形だ。

 ウクライナ語で「クロアナグマ」を意味する「ロソマハ」というコードネームを持つ兵士は、「ここは鉄道と貨物の接続地点で、常に戦略的に重要な目標と見なされてきた」と語った。

 ロソマハらの部隊はウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領がリマン奪還を宣言した翌2日、この駅に到着した。ロシア軍はここから30キロほど南下した東部ルガンスク(Luhansk)州スバトベ(Svatove)まで後退し、反撃の機をうかがっている。ルガンスク州は、ロシアが併合を宣言した4州のうちの一つ。

 しかし、ロソマハたちウクライナ兵は過剰な心配はしていない。ロシア軍が慌てて後退したことを指摘し、ウクライナ軍がクピャンスクで再編すればさらに前進できるとした。また、最近拘束した捕虜からロシア側の動きを知る手掛かりを得たとも話した。ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領が予備役の「部分動員」を発表して以来、ロシア占領地域の一部の部隊に徴集兵が補充されていることもその一つだ。

 ロソマハは撤退するロシア軍が残していった迫撃砲の穴の横に立ち、「ウクライナの法律では、ここはウクライナの領土であり、われわれの土地だ」とAFPに語った。「自分はルガンスクの出身。だから、最後のロシア人がこの地からいなくなるまで、戦いをやめない」

 背後の駅では見上げるほど高いガラス窓が粉々に砕け、切符売り場は人けがなく静かだ。時刻表にはハルキウ、キーウ、そして遠く黒海(Black Sea)の港町オデーサ(Odessa)への発車時刻が今も表示されている。(c)AFP/Dave CLARK