【10月5日 AFP】インドネシアで1日、サッカーの試合後に発生した混乱で100人を超える死者が出た。同国では大規模な国際スポーツ大会の開催が控えている。五輪招致も目指している。スポーツ大会開催国としての将来は、今回の事故調査の信頼性と安全改革に懸かっている。

 東ジャワ(East Java)州マラン(Malang)のカンジュルハン・スタジアム(Kanjuruhan Stadium)で起きた事故では、ピッチに乱入したサポーターらを鎮圧するため警察が催涙ガスを使用。パニックになった人々が倒れて折り重なるなどして数十人の子どもを含む131人が死亡、300人以上が負傷した。

 同様の事故は他国でも起きているが、これほどの規模はまれだ。サッカー史上、死者が最も多い事故の一つとなった。

 今回の事故が、大規模な国際スポーツ大会開催国としてのインドネシアの評判に影響するのは間違いないとアナリストはみている。

 タイミングは最悪だった。中国が開催を返上した来年のアジアカップ(Asian Cup)の代替地が2週間以内に決定されるが、インドネシアも候補国として名乗りを上げている。

 来年5月には、国際サッカー連盟(FIFA)のU-20W杯インドネシア大会(U-20 World Cup 2021、2021年から延期)が開催される。インターネットでは、同国の開催権をはく奪すべきだとの声も出ている。

 一方、インドネシアは2036年夏季五輪の開催地に立候補している。実現すれば同国初の五輪となる。

 米ロサンゼルスを拠点とする群集管理専門家ポール・ワートハイマー(Paul Wertheimer)氏はAFPに対し、今回の事故で「インドネシアと同国のサッカーの評判が傷ついたのは間違いない」と話した。

「しかし、汚名を返上できるかどうかは今後の対応次第だ。悲劇から学び、世界に印象付けられるような安全基準を導入できるかに懸かっている」

 同氏はさらに、「ファンや一般市民に対して、自らの身と他者の安全を守るためにどのような行動を取るべきか、いかなる責任があるかを教育する」ことも必要だと指摘する。

 インドネシアは今回の事故を受け、事故調査委員会を設置している。