【10月4日 AFP】オーストラリアは4日、動植物の絶滅ゼロを目指す保護計画の一環で、パルマワラビーなど15種を新たに絶滅危惧種に指定した。

 アンソニー・アルバニージー(Anthony Albanese)政権が発表した10か年計画では、110種の「優先される種」の絶滅と、20か所の「優先される場所」の破壊を食い止めるとしている。最低30%の国土を保全し、動植物の絶滅ゼロを目指す。

 オーストラリア東部では、「ブラック・サマー(Black Summer)」と呼ばれる2019~20年の大規模森林火災で、580万ヘクタールが延焼。10億~30億の動物が死んだか、生息地を追われたと推定される。

 今回指定された15種には、森林火災や肉食動物の脅威にさらされているパルマワラビーの他、クイーンズランド(Queensland)州に生息する弱い毒を持つグレースネーク(学名:Hemiaspis damelii)、干ばつや森林火災に弱い羽のないバッタ(学名:Keyacris scurra)などが含まれている。

 世界自然保護基金(WWF)オーストラリアのレイチェル・ローリー(Rachel Lowry)氏は政府に対し、国内の1900種以上の動植物の個体数回復計画の策定と予算確保を求めていた。

 今回発表された計画は「110種の勝ち組」を選んだもので、「フクロムササビなど他の『優先順位の高くない』絶滅危惧種をどう救えるのかは不明だ」と、同氏は指摘した。

 タニア・プリバセク(Tanya Plibersek)環境相は記者らに対し、優先される110種を保護することにより、相互依存関係にある、同じ土地に生息する他の種にも波及効果があると説明した。

 さらに、20か所の保護区を設けることで「小さなノアの箱舟(Noah's Ark)」のような、動植物の個体数回復が確保できる場所をつくることができるとしている。(c)AFP