【10月4日 AFP】ウクライナ東部にはロシア軍撤退後、小さくても殺傷能力が高い地雷や不発弾が多数残された。地雷除去班が、冬が来る前にすべてを除去できるよう急いでいる。

 半年間ロシア軍に占領されたイジューム(Izyum)は先月解放された。その周辺で活動するアルテムさん(33)は「われわれがいなければ、冬が来る前に電気などのインフラは復旧できない」と話した。

 アルテムさんは10人余りからなる地雷除去班の班長を務めている。防護用ゴーグルを外し、眉の辺りを拭うと「今日だけで30個以上の地雷や砲弾を回収した。大半は砲弾だった」と話した。

 アルテムさんの班は、電線やガス・水道管など損傷した重要なインフラ周辺での作業を担当している。

 地雷探知機を持った班員の後ろに一列になり、電力会社の作業員が切れた電線に向かってヒマワリ畑を慎重に歩いていた。

 アルテムさんは地雷除去について「これが私たちの仕事で、やり方も分かっている」と話した。ロシアによる侵攻でこれまでにないほどの「重要な使命になっている」という。

 イジュームの地雷除去班を指揮するワシリ・メリニク(Vasyl Melnyk)さん(42)によると、地雷除去班は7班あり、ウクライナ各地から集まった35人が従事している。

 イジュームの拠点でAFPの取材に応じたメリニクさんは「撤去作業にどれだけの時間がかかるのか誰にも分からない」と語った。「国際組織の支援を受けてはいるが、2014年に始まった紛争の初期に設置された地雷の除去すら終わっていない」

 しかし、迅速に作業ができれば、イジュームでの作業は11月までに完了し、冬までにはインフラが復旧するとの見通しを示した。

 イジュームが解放された9月上旬以降、メルニクさんのチームは約100ヘクタールの土地を調べ、ロシア軍の拠点周辺から5000個以上の地雷を発見した。

 回収物には、対人・対戦車地雷や砲弾のみならず、国際的に使用が禁止されている「バタフライ地雷」と呼ばれる空中散布式の地雷も含まれていた。

 バタフライ地雷は緑色で、両側に羽のような突起がある。子どもが拾ってしまうため、特に危険だとメリニクさんは話した。(c)AFP/Peter MURPHY