【10月4日 AFP】英国の保守党政権は3日、国債増発を伴う経済政策の一環として打ち出していた高所得者向けの減税について、固持の姿勢から一転、撤回を表明した。同政策は市場の混乱を生み、有権者や党内の反発を呼んでいた。

 リズ・トラス(Liz Truss)首相とクワジ・クワーテング(Kwasi Kwarteng)財務相は前日、政策の維持を宣言したばかりだった。政権発足から1か月足らずでの方針転換により、トラス政権が進める政策に疑問が投げ掛けられている。

 トラス、クワーテング両氏はほぼ同時にツイッター(Twitter)で行った投稿で、政府は批判に「耳を傾けた」とし、所得税の最高税率45%を維持すると表明した。

 一方、銀行員のボーナスの上限廃止や、法人税引き上げの中止、最近値上げされていた国民保険料の値下げは今のところ撤回されていない。一連の政策に対しては、富裕層を優遇しているとして批判が集中。また、減税による損失を巨額の借り入れでまかなう政府の方針を受け、ポンドは対ドルで過去最安値に急落し、英国債の利回りは急騰していた。

 英BBCに辞任の意向はないかと問われたクワーテング氏は「全くない」と答えた。(c)AFP/Jitendra JOSHI