【10月4日 People’s Daily】先日、中国初の陸上生態系炭素モニタリング衛星「句芒(Goumang)」が太原衛星発射センターからの打ち上げに成功した。同衛星は、リモートセンシングによるモニタリングサービスを提供し、炭素吸収量測定の効率と精度を高め、中国の炭素排出ピークアウトとカーボンニュートラルに向けた目標の達成の重要な支えとなる。

 衛星「句芒」の曹海翊(Cao Haiyi)総設計士は、「句芒」は国家民用空間インフラ中長期発展計画における科学研究衛星であり、高度506キロ、傾斜角97.4度の太陽同期軌道で運行されると紹介した。レーザーやマルチアングル、マルチスペクトル、ハイパースペクトル、偏光などの総合的なリモートセンシング手段により、植生バイオマス、大気エーロゾル、植生クロロフィル蛍光などの要素の探知と計測が可能となる。

「句芒」は、陸上生態系の炭素モニタリング、陸上生態系・資源の調査・モニタリング、国家重要生態プロジェクトのモニタリング・評価、大気環境のモニタリング、気候変動におけるエーロゾルの役割に関する研究など、幅広く利用される見込みだ。さらに、「句芒」は高度制御点の確定、災害のモニタリング・評価、農業生産状況のリモートセンシング・モニタリングなどのニーズに対応し、中国における陸上リモートセンシングの定量化レベルを大幅に向上させることも期待されている。

 衛星「句芒」は軌道に乗った後、主受動結合によるリモートセンシング体制の採用により、世界の森林炭素吸収源に関するマルチ要素リモートセンシング情報の取得が可能になり、中国の森林、草原、湿地、砂地などに関する統計・モニタリングと計算能力向上を助けることになる。

 植生高の計測では、衛星「句芒」に搭載されたマルチビームレーザーレーダーは、レーザーが樹冠と地面に到達する時間差を計算することで、樹木の高さを算出することができる。

 植生面積を正確に把握し、森林の密度を再現するために、衛星「句芒」には5台のマルチスペクトルカメラを搭載し、5角度の対地立体観測が可能になった。5角度のマルチスペクトルカメラにより、衛星は観測エリアのすべての草木を正確にカバーした「立体的な植生分布図」を作成できる。

 衛星のモニタリングデータに対する大気の影響を取り除くために、衛星「句芒」は35角度から大気中のPM2.5濃度をモニタリングし、大気中の水平方向のPM2.5濃度分布の情報を取得する偏光イメージャを搭載した。また、同衛星には、大気中の垂直方向のPM2.5濃度分布の情報を得るための大気観測用レーザーレーダーも搭載した。水平方向と垂直方向の組み合わせにより、データ結果を2次元から3次元の立体情報に変え、より正確な大気補正が可能になる。(c)People’s Daily/AFPBB News