ユーラシア大陸を結ぶ「鉄のラクダ」 成長続ける国際貨物列車・中欧班列
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【10月4日 東方新報】ドイツ・ハンブルクに9月9日、中国・西安市(Xi’an)から出発した国際貨物列車「中欧班列」が到着した。今年に入り中欧班列の運行本数が累計1万本目となり、ハンブルクで記念式典が開かれた。2011年に年間17本の運行から始まった世界最長距離の貨物列車は、ユーラシア大陸を結ぶ大動脈に発展。かつては絹や茶をラクダに積んだ商隊が往来したシルクロードを、「鉄のラクダ」が疾走している。
中欧班列は2011年3月19日、重慶(Chongqing)-ドイツ・デュイスブルク間の運行から始まった。「安いが時間のかかる船便」と「早いが高額な航空便」のちょうど中間となる第3のルートは、1万キロに及ぶ鉄路を2~3週間で駆け抜ける。今では中国の各都市から82ルートの輸送網が広がり、欧州24か国の200近い都市に到達。当初は大量生産の単一製品の輸送が中心だったが、中国の経済成長に伴い近年はハイテク製品など多様化している。
2020年に新型コロナウイルスが世界を襲い航空便や海上コンテナ輸送が大打撃を受ける中、中欧班列は安定輸送を続け、防疫物資も輸送。逼迫(ひっぱく)する世界の輸送網を支える役割を果たした。今年に入りウクライナ情勢で世界の流通が不安定になっても、中欧班列は昨年より10日早く運行本数1万本を達成。輸送量は前年同期比5%増の累計97万2千TEU(20フィート標準コンテナ換算)に及び、コンテナの貨物搭載率は98.4%に達している。
貨物列車便は2016年から「中欧班列」を統一ブランドにしているが、列車の行き先は欧州にとどまらない。中央アジア諸国を通過しているほかトルコへの直行便やベトナム、ラオスとのルートなども運行。日本企業も中欧班列を利用するようになっている。
中国鉄道上海局集団(China Railway Shanghai Group)の担当者は「中欧班列は全天候対応で輸送量が大きく、円滑で安全性の高い物流ルートを構築している。これからも国際産業チェーン・サプライチェーンの維持に貢献したい」と話している。(c)東方新報/AFPBB News