【10月3日 AFP】インドネシア・東ジャワ(East Java)州マラン(Malang)のサッカースタジアムで、ピッチに侵入したファンに対して警察が催涙ガスを放ったことで人々が殺到し、125人が死亡した暴動事件について、地元警察に対する批判が強まっている。当初死者数は174人とされていたが、その後訂正された。

 1日の夜に発生し、323人が負傷したと警察が発表しているこの悲劇は、スポーツのスタジアムで起きた群集事故の中でも最も多くの死者数を出した一つとなった。

 同国1部リーグのアレマ(Arema FC)はこの日、ペルセバヤ・スラバヤ(Persebaya Surabaya)に2-3で敗戦。すると、宿敵にホームでここ20年以上なかった敗戦を喫したことで、アレマのサポーターはピッチになだれ込んだ。

 この騒ぎを暴動と位置づけた警察はスタンドに戻るようファンに促すと、警官2人が死亡した後で催涙ガスを放った。警察によると犠牲者の多くは圧死、あるいは窒息死だったという。

 東ジャワ州のエミル・ダルダック(Emil Dardak)副知事は2日午後、地元放送局のメトロTV(Metro TV)に対し、二重計算があったとして死者数をこれまでの174人から125人に訂正した。

 同国のジョコ・ウィドド(Joko Widodo)大統領は、今回の件の調査と全ての試合について安全面の見直しを命じ、「安全性の改善」が完了するまで全試合を中止するよう同国サッカー協会(PSSI)に指示した。

 病院関係者が地元テレビ局に明かしたところによると、犠牲者の中には5歳の子どもも含まれていたという。

 SNSで拡散されている映像では、警備用の盾を構えて警棒を振り回す警官を、人々がののしる様子が確認できた。また、殺到発生時にスタジアム内で撮影された写真には、警官が大量の催涙ガスを放ち、人々がフェンスによじ登る姿もあった。

 国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)」は、催涙ガスは「他の手段が失敗した」場合のみ使用されるべきだとした上で、なぜ狭い空間で使われたのかについての調査を要求した。

 国際サッカー連盟(FIFA)の安全規則では、警察や警備員が群衆をコントロールするためのガスを携帯することは禁止されている。

 スタジアムの収容人数は4万2000人で、関係者はこの日のチケットについて完売だったと明かしており、警察の集計ではピッチに侵入した人の数は3000人だったという。

 映像は1日撮影。(c)AFP/Marchio Gorbiano with Dessy Sagita in Jakarta