【10月2日 AFP】ベネズエラは1日、麻薬密売の罪で米国で収監されていたニコラス・マドゥロ(Nicolas Maduro)大統領の親族2人の解放と引き換えに、拘束していた石油会社幹部ら米国人7人の身柄を解放した。

 ジョー・バイデン(Joe Biden)米大統領は声明で、「ベネズエラで不当に拘束されていた」7人が帰国すると発表。米政府高官は、7人の自由を確保するため大統領が囚人交換という「痛みを伴う決断」をしたと認めた。

 7人のうち5人は、ベネズエラ国営石油会社(PDVSA)の米国子会社シトゴ(Citgo)の元社長ら幹部で、2017年、ベネズエラ出張中に汚職容疑で拘束・訴追され、それぞれ禁錮13年余りの有罪判決を受けた。残る2人は別の容疑で拘束されていた。

 米政府は、7人の罪状は捏造(ねつぞう)されたものだと主張。国務省のネッド・プライス(Ned Price)報道官は昨年、7人は「政治の駒」にされたと述べていた。

 ベネズエラ政府も米国の声明発表とほぼ同時に、米国で「不当に収監されていたベネズエラの若者2人」が、3月5日から続けてきた交渉により解放されたと発表した。

 解放された2人の身元についてベネズエラ側は明らかにしていないが、米政府高官によると、マドゥロ大統領の妻シリア・アデラ・フローレス・デ・マドゥロ(Cilia Adela Flores de Maduro)氏のおいのフランシスコ・フローレス・デフレイタス(Francisco Flores de Freitas)、エフライン・アントニオ・カンポス・フローレス(Efrain Antonio Campos Flores)の両受刑者。

 2人は2015年、米当局のおとり捜査によりハイチで逮捕された。その後、コカイン800キロを米国に密輸しようとしたとして禁錮18年の有罪判決を受け、収監されていた。ベネズエラ政府は、2人はわなに掛けられたと主張していた。

 米・ベネズエラ関係はここ数年、冷却化。米国は、不正の疑いが取り沙汰されている2018年の大統領選で勝利したマドゥロ氏の正統性を認めていない。

 しかし、ロシアのウクライナ侵攻に伴う世界的なエネルギー不安を背景に、米国は主要産油国であるベネズエラとの最低限の関係改善を水面下で模索していた。(c)AFP