【10月1日 CNS】「魯菜」と呼ばれる山東料理の中で「奶湯蒲菜(Nai tang pu cai)」というスープは、油と塩の味が強い印象の他の魯菜とは異なり、南国の風味の「繊細さ」が少し加えられ、北国料理と異なる優しさを見せる。著名な作家、老舍(Lao She)はかつて 「大明湖の春」という文章の中で、「大明湖で育った蒲菜、マコモ、白い花のレンコンは、南部の風味があり、それが世界中で有名になった理由かもしれない」と書いた。

 山東料理の中、済南のスープは有名だ。その中に奶湯蒲菜は「済南(Jinan)スープ料理のチャンピオン」といわれている。その最大の理由は蒲菜の産地が大明湖であることだ。済南市の湧き水が大明湖に集まり、湖のそばで育った新鮮でシャキシャキした甘い蒲菜が奶湯蒲菜の美味しさを引き立てる。

 蒲菜は中国を産地とする植物で、タケノコに似た柔らかい茎が食用できる。蒲菜のごちそうは、中国で 2000 年以上の歴史がある。「周礼」に「蒲菹(Puzu)(ショウブの根の漬物)」の記録があり、郷土料理への憧れを「箸で一口の切り刻んだシャキシャキの蒲菜を食べ、皿中の鯉の香ばしさと新鮮さの思い出がいっぱい」の詠唱で表現する詩人もいる。

「蒲菜の珍味は世界で最高であり、昔も今も国内でも国外でも独特だ」と言われる。奶湯蒲菜はその名の通りスープは白くて香ばしく、緑の蒲菜が添えられ、白いスープの中にうまみと甘みがある。海老や梅肉などを加えると、味わいがさらに豊かになる。

「『済南スープ料理のチャンピオン』と称賛される奶湯蒲菜の鍵はその白いスープだ」と、済南市内の料理店、城南往事のシェフ、尹明玉(Yin Mingyu)さんは、「中華料理のスープには高湯、頂湯、奶湯、清湯の4種類があり、その中で白いスープの奶湯が一番香り良く、おいしい」と話した。

「奶湯蒲菜は山東料理の定番で、蒲菜が旬の時期には、この料理はどのテーブルにも欠かせない。すべての年齢層に愛される」と尹さんは強調した。

 夕方、済南市内の山東料理店に客が三々五々入ってきた。看板料理である奶湯蒲菜は次々と注文されていく。近年、済南に訪れる観光客が増えており、山東料理店に足を運ぶ若者も増えている。かつて黄河流域全体に影響を与えた山東料理は、静かに復活の道を歩み始めた。(c)CNS/JCM/AFPBB News