【9月29日 時事通信社】ロシアのプーチン大統領は30日、クレムリンで演説し、軍事占領するウクライナ東・南部4州の一方的なロシア編入を宣言する見通しだ。23~27日に親ロシア派を通じて行った「住民投票」の結果を根拠とするが、民意の反映とは言い難く、侵略された側のゼレンスキー大統領は「茶番」と非難している。

 日本を含む先進7カ国(G7)が追加制裁に踏み切るのは必至で、ロシアは国際社会からの孤立を一層深めそうだ。ウクライナ侵攻が7カ月以上も続く中での「力による現状変更」の試みは、戦況に深刻な影響を与え、停戦の糸口が見いだせなくなる恐れもある。

 4州は東部のドネツク州(一部占領)とルガンスク州、南部のヘルソン州とザポロジエ州(一部占領)。2014年に併合した南部クリミア半島を含めると、ロシアの実効支配地域はウクライナ全土の5分の1に上るとされる。

 親ロ派は27日、4州での住民投票が終了し、賛成が「約9割」に上ったと主張。タス通信によると、ルガンスク、ザポロジエ両州の親ロ派幹部は28日、プーチン氏に編入を要請する文書に署名した。

 だが、多くの避難民が国内外に流出し、残された住民も自動小銃を携えた兵士らに投票を強要されたと指摘される状況で、民意を問うのはほぼ不可能だ。結果は、プーチン政権が事前に用意していると独立系メディアが伝えた「約9割」と一致した。

 30日は、14年のクリミア併合の手続きをほぼ踏襲するもようだ。プーチン氏は親ロ派の正式な要請を受け、ロシア編入を最終決定。同日午後(日本時間夜)、クレムリンに上下両院議員を集めて演説し、「編入条約」の批准を求める。その後、「独立国」を自称する4州の親ロ派との間で、編入条約に調印する公算が大きい。

 ペスコフ大統領報道官は27日、「立法、行政、司法は用意がある」とだけ説明。マトビエンコ上院議長は「10月4日に(編入問題を)審議する」方針を示した。憲法裁判所の「合憲」判断を見越し、議会での編入条約の批准作業を指している可能性がある。

 30日はクレムリン脇の広場で、祝賀行事も計画されている。公共部門の労働者を動員した「官製集会」となる見通しだ。

 プーチン氏は21日の国民向け演説で、東・南部4州をロシアの「歴史的領土」と位置付けて防衛を訴え、予備役の動員令を出した。一方、国内では事実上の総動員という見方が広がり、反戦デモや国外脱出が相次ぐなど、社会不安が生じている。占領地の編入を強行しても、欧米から兵器の支援を受けるウクライナ軍に苦戦する状況は変わらないとみられる。(c)時事通信社