【9月28日 時事通信社】3回にわたる米朝首脳会談が行われた2018~19年に、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(現総書記)とトランプ米大統領(当時)が交わした書簡27通の全文が明らかになった。一大決心して臨んだ首脳会談で成果が得られない正恩氏の焦りが浮き彫りになっている。

 韓国メディアのワシントン特派員経験者の団体「韓米クラブ」が入手し、韓国語に訳して25日に公開した。米ジャーナリスト、ボブ・ウッドワード氏が著書で書簡の一部を明らかにしているが、全文の公開は初めてとみられる。ただ、入手の経緯は公表していない。

 19年2月、ベトナム・ハノイでの2回目の首脳会談が決裂後、同6月に板門店で3回目の会談が行われ、その後、米朝間の実務協議が模索されていた。しかし、米韓軍は8月5日から合同演習を開始。正恩氏は同日付の書簡で「閣下(トランプ氏)がしてくれたことは何なのか。私は、われわれが会って何が変わったのかについて人民にどう説明すればいいのか。わが国の対外環境が改善されたか?軍事訓練が中止されたか?」と不満を訴えた。

 「現時点で実務協議を進めれば、国内的にもわが首脳部を変に思うだろう」とも言及。自らの指導力に対する国内の風当たりを気にする様子ものぞかせた。制裁緩和について「私が切実に望んだ」と率直に吐露する部分もある。

 一方、18年9月21日付の書簡で、正恩氏は「私は今後、韓国の文在寅大統領ではなく、閣下と直接朝鮮半島の非核化問題を議論することを希望する。文大統領がわれわれの問題に対して表している過度な関心は不必要だ」と表明。同19日に平壌で南北首脳会談を行った直後だったが、米朝対話の仲介に熱を上げた当時の文政権に冷淡な態度を示した。(c)時事通信社