【9月28日 AFP】バルト海(Baltic Sea)海底を走りロシアから欧州へ天然ガスを供給するパイプライン「ノルドストリーム(Nord Stream)」で原因不明のガス漏れが発生した問題で、スウェーデンの地震観測機関は27日、漏えい発生の直前に複数の爆発が検知されていたことを明らかにした。ロシアによるウクライナ侵攻をめぐる緊張が高まる中、パイプラインが破壊工作を受けた疑いが高まっている。

 ガス漏れは、スウェーデンとデンマークの経済水域にある「ノルドストリーム1(Nord Stream 1)」と「ノルドストリーム2(Nord Stream 2)」の計3か所で発生。デンマーク軍が撮影した写真には、ガス漏れによって海面に大量の泡が直径200~1000メートルにわたり広がっている様子が写っている。

 スウェーデン・ウプサラ大学(Uppsala University)の地震学者ペーテル・シュミット(Peter Schmidt)氏はAFPに対し、スウェーデン国立地震ネットワーク(Swedish National Seismic Network)がガス漏れの直前にデンマーク領ボーンホルム(Bornholm)島沖の現場付近で2回の「大規模なエネルギー放出」を観測したと説明。「これだけ大きなエネルギー放出を引き起こせるのは、爆発以外にはほぼない」との見解を示した。

 デンマークのメッテ・フレデリクセン(Mette Frederiksen)首相は、3件の漏えいが互いに離れた場所で起きるのは「異常」であり、「事故とは考えにくい」と指摘。一方でウクライナは、「ロシアが計画したテロ攻撃であり、欧州連合(EU)に対する侵略行為にほかならない」と非難した。(c)AFP/Camille BAS-WOHLERT