■銃だ、ギターじゃない

「敵はあそこにいるぞ。バン、バン、バン」。ドネツク州内で20人前後のウクライナ兵の能力を試していたモーツァルトの外国人教官は、前進する兵士たちに向かってこう叫んだ。兵士たちは素早く地面に伏せ、応戦の動きをシミュレーションした。

 訓練後、教官は兵士たちの動きを評価し、問題があれば修正させる。

「何がそんなに難しい。要は、敵に向かってただ撃てばいいんだ」。ある教官は英語で叫んだ。通訳は「そんなふうに武器を持つな。ギターじゃないんだ」と兵士に助言した。

 訓練に参加したゲオルギーさん(32)は、技能が向上したと実感している。「戦闘経験があったとしても、このような訓練は有益だ。常に新しいことを学べる」と語った。

 ウェッテラウワーさんは、モーツァルトの訓練内容は「戦場で生き抜くための能力」の向上と「基礎的な訓練」が中心だと説明した。具体的には、防弾チョッキの正しい着用方法や塹壕(ざんごう)を掘って敵の砲撃から身を守る方法、救護方法などだ。

「われわれの任務がこの戦争の結果に及ぼす戦略上の影響はごくわずかしかないことは承知している。それでも命を救うことにわれわれは取り組んでいる」 (c)AFP/Emmanuel PARISSE