【9月27日 AFP】ロシアから欧州へ天然ガスを供給するパイプライン「ノルドストリーム1(Nord Stream 1)」で、経由地のバルト海(Baltic Sea)の海中2か所でガス漏れが発生した。現地当局が27日、明らかにした。前日には「ノルドストリーム2(Nord Stream 2)」でも、同様の問題が報告されていた。原因不明のガス漏れが相次いでいることで、破壊工作との疑いも浮上している。

 デンマークのダン・ヨーエンセン(Dan Jorgensen)気候変動・エネルギー・供給相はAFPの取材に対し、「当局はノルドストリーム1でも、2か所でガス漏れが発生したとの報告を受けている。両パイプラインは稼働していないものの、ガスは充填(じゅうてん)されている」と文書で回答した。

 同省は、「問題の原因について述べるのは時期尚早」だとしている。

 ヨーエンセン氏によると、報告を受けて当局が「電気・ガス部門での備えの強化」を要請したという。

 ノルドストリーム1のガス漏れは、1か所はデンマーク、もう1か所はスウェーデンのそれぞれ排他的経済水域(EEZ)内で発生。今回のガス漏れは、前日のノルドストリーム2での問題同様、「安全対策措置の対象」とされる。

 付近を航行する船舶や飛行機に対し、ガス漏れ発生地点から半径5カイリ以内、高度1000メートル以内の航行時には注意するよう、警告が出された。

 ヨーエンセン氏は、両パイプラインで報告された問題は「デンマークのガス供給には影響しない」としている。

 今回の問題について、ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ(Dmitry Peskov)報道官は「極めて憂慮している」と述べた。記者団から破壊工作行為の可能性について問われると、現時点では「いかなる可能性も排除できない」との考えを示した。(c)AFP/Camille BAS-WOHLERT