【10月2日 People’s Daily】何世代にも渡って貧困の影と共にあった中国南西部の貴州省(Guizhou)は、2015年末、貧困を緩和するための大規模な移転プロジェクトを正式に始動させた。当時、同省には9000の貧困村があり、貧困人口は493万人で、中国国内第1位だった。省の面積の92.5%が山地・丘陵で、73%がカルスト地であり、中国で唯一、平原がない省でもある。

 その後の5年間で192万人の貴州の貧しい人々が山から移り住み、近代的な住宅地に住み、幸福な新生活をスタートさせた。

 教育は、移転者にとって特に関心の高い問題だ。貴州省は、学齢児童に学校教育を提供することを常に優先しており、移転先での教育施設の完全整備を実現し、子どもたちが山道通学の歴史に別れを告げ、より公平で質の高い教育を享受できるようにした。同省は180億元(約3619億円)以上を投じ、669校の支援校を建設、改築、拡張し、移転先の支援校に合計3万人以上の教師を配置し、移転者の子どもたちが家の近くの学校に通えるようにした。

 銅仁市(Tongren)松桃県(Songtao)にある育才コミュニティーは、最大の貧困緩和のための移転先だ。ここには、労働者がすべて50歳以上という特殊な「マイクロ工場」がある。作業場に入ると、何十人もの作業員がぬいぐるみ生産の仕上げ作業を行っている。「1日500個分作業すれば、40元(約804円)近くは稼げるよ」と、52歳の張桂英(Zhang Guiying)さんは語った。松桃県経済開発区のある玩具工場は、松桃県生態移民局とのマッチングにより、育才コミュニティーに「マイクロ工場」を設立し、中高年者に簡単な手作業の就労機会を提供している。現在は、38人がここで安定的な職を得ている。

 貴州省は、大中規模の集中定住地域を中心に、雇用支援工場の設置、労働力輸出の組織化、特色産業の育成などを通じ、雇用・起業、産業配置、技能訓練などへの支援を強化し、定住地域の規模、分布、移転者の年齢構成と就職能力などに応じた産業の配置、雇用の仕分けを行った。2022年6月末までに41万4500世帯の92万9900人が雇用され、労働力のある世帯の一家につき1人以上の雇用が実現した。

 医療面では、移転民たちの平等な基本的公衆衛生・医療サービスの確保のため、貴州省は移転地周辺の既存の医療・保健リソースを十分に活用しながら、標準的な医療・保健機関を新たに411か所建設・改築・拡張し、759か所の医療・保健機関に、設備を設置し、医療スタッフを配置した。949か所の移転地での公衆衛生サービス機関が完全にカバーされ、移転者の医療保障カバー率は100%に達した。(c)People’s Daily/AFPBB News