【10月1日 People’s Daily】サンゴ礁は、地球上で最も古く、最も貴重な生態系の一つだ。海底の1000分の2にも満たない面積でありながら、30%近い海洋生物の生息地となっている。この20年間で、地球温暖化、海水汚染、乱獲などにより、サンゴ礁の劣化が進んでいる。サンゴを守り、海洋生態系を回復させるために、中国の研究チームは長い間、海底でのサンゴの植え付け、海洋の楽園の再建に長期的に取り組んできた。

 今、中国海南省(Hainan)三亜市(Sanya)の蜈支洲島観光地に来ると、目の前に生き生きとした世界が広がってくる。

 しかし、この活気ある「海底の王国」は、10数年前までは、鉄の廃船とコンクリートの杭(くい)で埋め尽くされていた場所にすぎなかった。この海域のサンゴ礁の生態系は、海の温暖化、漁業による漁獲、海岸の工事などでダメージを受け、サンゴの被覆率は低下していた。

 科学研究者の長年にわたる持続的な努力により、蜈支洲島の海域には3万本以上のサンゴが植えられ、約5万平方メートルの面積が回復した。海底での「植林」は海洋生態系の持続的な改善を推進している。

 2013年以降、三亜市は三亜湾、紅塘湾、亜竜湾、百福湾などの地域で、サンゴ礁の修復、海岸・砂浜の修復、人工砂の補充などを含む、19の海洋生態系保護・修復プロジェクトを実施してきた。生態系の保護・復元を通じ、同市は7.7キロメートルの海岸線の復元、5万1584平方メートルの海域の復元、3万188本のサンゴの植え付けに成功した。

 サンゴの植え付けは、海底での「植林」とも表現されるが、海洋での「造林」はさらに難しい。海洋の環境は複雑で、海区によって環境要因、人為的な干渉の度合い、および既存の生態系の健全性が異なるため、研究チームはサンゴを植える際に特定の問題を分析し、地域の状況に応じて解決策を検討する必要がある。  

 海底での「植林」は、植林技術の絶えない向上にかかっている。海南省は、海域のサンゴ礁の面積が広く、海底での「植林」の主要な省であり、研究チームは実践を重ねる中で、修復技術を絶えず向上させている。一連の新方法、新技術によって、中国の海底における「植林」を継続的に促進し、知恵と解決策で世界の海洋生態系保護に貢献している。

 人工的な修復はあくまで補助的な手段であり、人間の干渉を減らすことこそが、海洋生態系を「育てる」カギとなる。近年、中国はサンゴ礁の自然回復のための努力を重ねている。サンゴ礁の保護は、海洋環境保護法などの法令で定められている。 また、中国は「生物多様性条約(CBD)」や「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(CITES)」などの国際条約に加盟し、サンゴ礁の保護に関わる国家級・省級の自然保護区5か所、国家級特別保護区(海洋公園)1か所を企画・建設した。現在、中国の近海の30%近く、大陸の海岸線の37%が、生態保護赤線制度(ECO-REDLINE)の管理下にあり、美しい海洋が徐々に現実のものとなってきている。(c)People’s Daily/AFPBB News