【9月27日 東方新報】中国東部の福建省(Fujian)にある企業のトイレに監視カメラが設置されていたと報道され、中国で物議を醸している。

 中国メディアの紅星新聞は、福建省の中航リチウム電(厦門)科技(CALB)のトイレ個室に監視カメラが設置されているとして、トイレで撮影されたとみられる画像とともに報道した。同社の関係者は9月13日、取材に対し「トイレ内の従業員の喫煙を防ぐため、今年に入り監視カメラを取り付けた」と説明したという。

 ネット上では「トイレの喫煙を防ぐ目的なら、煙探知機を取り付ければいいだけの話。ハイテク企業ならできるはず」「とんでもないのぞき趣味だ」と反発の声が広がった。

 中国の民法では、いかなる組織または個人も法律の特別の定めがない限り、他人の私的な活動を撮影、開示してはならないと明確に規定している。河南省(Henan)の傅建(Fu Jian)弁護士は「トイレという非公開エリアにカメラを設置することは、どのような理由があろうと従業員のプライバシーを著しく侵害している。従業員はカメラの撤去を会社に請求し、労働監察官に告発することもできる」と解説。すでに現地の労働監察官が同社を調査しているという。

 中国メディアは「会社によるこうした従業員の監視行為は珍しいことではない」と解説する。ある企業では従業員のいすに心拍数や呼吸、座っている姿勢を計測できるというクッションを設置。「従業員の疲労の度合いを把握するため」という名目だが、実際には従業員がいすから離れて仕事を怠っていないかどうかチェックするのが目的という。また、別の企業はスタッフとパソコンを撮影するカメラを1人に1台ずつ設置。職場環境の確認というが、やはり従業員の一挙手一投足を把握する狙いという。

 ある企業コンサルタントは「雇い主である企業は、職場で従業員のあらゆる行動を管理できるという傲慢(ごうまん)な発想がある。現代ではとても通用しないし、法令順守の観念がない企業には発展が見込めない」と指摘している。(c)東方新報/AFPBB News