【9月27日 東方新報】中国中部の河南省(Henan)汝州市(Ruzhou)にある雲禅湖という池でこの夏、「怪魚」が見つかったという情報があった。池の水を約1か月かけて抜いたところ、8月27日に外来種の大型肉食魚アリゲーターガー2匹を捕獲した。捕獲シーンはネット配信され、数千万人が視聴したという。

 北米が原産地のアリゲーターガーは凶暴かつ何でも食べる特徴から「水中の殺し屋」と呼ばれ、野生の場合は2メートル以上に成長する。人工飼育でも約1.5メートルまで大きくなるという。アリゲーターガーはここ数年、広東省(Guangdong)、広西チワン族自治区(Guangxi Zhuang Autonomous Region)、福建省(Fujian)、四川省(Sichuan)など各地で確認され、江蘇省(Jiangsu)では団地の池で遊んでいた男の子が指3本をかまれるけがをしている。

 口先がとがっており、水面に浮かぶ姿がワニに似ているアリゲーターガーは観賞用として人気だ。観賞魚の販売店やインターネットで販売されており、あるサイトでは長さ15~35センチの幼魚を40~155元(約800円〜3101円)で販売。「簡単に育てられる幸福の魚」「48時間以内に発送」などと宣伝している。

 中国水産科学研究院珠江水産研究所の顧党恩(Gu Dang’en)副研究員は「アリゲーターガーは特殊な形状から観賞魚として人気だが、急速に成長するため、水槽で飼えずに飼育を放棄する人が多い」と話す。アリゲーターガーは日本でも名古屋城のお堀で発見され話題になっている。中国では河南省でアリゲーターガーが見つかった後、各地の店頭やオンラインでの取引が制限されるようになっている。

 中国では外来種が増え続けており、農業や漁業、畜産業などに害を及ぼしている。生態環境部によると、中国で見つかっている外来種は約660種。国際自然保護連合(IUCN)が定めた「世界の侵略的外来種ワースト100」のうち50種類が確認され、世界的にも外来種の影響が深刻な国となっている。輸入した穀物や食物、貨物に混入したり、観賞用に輸入した外来種が広まったりしている。経済成長に伴い輸入品目や輸入量が増えていることと、経済的に豊かになった市民が変わった外来種を観賞用に購入することが要因で、経済成長の思わぬ「副産物」に悩まされている。(c)東方新報/AFPBB News